獣医師や看護師が贈るペットコラム
獣医師や看護師が贈る
ペットコラム

いつでも元気にいて欲しいからここからコラムをお届けします

ペットクリニックHOME » 病気と予防 » 一覧 » 9月のColumn ☆ペットの骨格のひみつ☆

Column

9月のColumn ☆ペットの骨格のひみつ☆

私達の体をつくるもので最も基礎となるもの、それは骨ですね。骨が組み合わさってできている骨格は動物の種類によってそれぞれ異なり、その種としての特徴があります。今回は人間と犬と猫、それぞれの骨格を比較しながら、ペットの骨格についてお話しましょう。


★人間にあって犬や猫にはない骨は?★
 
鎖骨は私達が自分の肩を触ったときに触れる横に伸びた骨ですが、犬や猫には鎖骨(さこつ)がありません。なので、人間の肩甲骨が鎖骨に支えられて横に広がり“肩”を作っているのに対し、鎖骨がない犬や猫の肩甲骨は横には広がらず上下の縦方向についているため、「肩がない、急下降のなで肩」のように見えます。さらにそれに伴い肋骨も人間のように左右には広がらず前後に細長い形をしているため、顔が入るだけの小さな穴から抜け出すこともできるのです。
また、犬の肩甲骨は筋肉によって「体の側面」でつながっているため、人間のように真横に開くことはできません。よって、脇を広げ両腕の付け根を持って抱えあげるのは犬にとって負担になるため、あまり好ましくないでしょう。ちなみに猫は肩甲骨が「首の後ろ側」にあり、足の動きに従って自由に動きます。これが猫の柔軟さの理由です。
そしてもう一つ、犬や猫の指の数を知っていますか? 一般的には前足が5本、後ろ足には4本しか指がありません。後ろ足の親指は退化し消失しています(まれに残っている場合もあります)。前足の親指は少し上のほうにあり、実際には4つの指を地面につけて歩いています。


★逆に人にはない骨は?★

人の骨の数は約200本なのに対し、犬では約320本、猫では約240本もあります。
骨の数で人間と最も違う場所は尾椎(しっぽを構成している骨)で、犬で6〜23個、猫で16〜21個もあります。その反面、人の尾椎は3〜6個と少なくほとんど退化しており「尾てい骨」となっています。言い換えれば、人間にもかろうじて“しっぽ”は残っているんですね。
また、人間の胸椎(上部の背骨)の数は12個なのに対し犬や猫では13個、人間の腰椎(下部の背骨)の数は5個ですが、犬や猫では7個です。犬や猫は背骨の数が多いだけ胴体も長いので4本足で歩いてバランスを取りながら柔軟な体の動きを可能にしています。


★物をにぎれる人間vsにぎれない犬&猫★

次に手の骨を見てみましょう。人間は長い5本の指を使って物を持ったり握ったりすることができます。しかし犬や猫の場合は親指が短く他の指と向かい合わせにできない分、物をにぎることができません。さらに、とても厚いクッションの役割である肉球も指を曲げられない理由の一つです。なお、犬や猫では指の先端にある骨である末節骨のことを“鉤爪骨(かぎづめこつ)”ともいい、普段は縮んでいるものの、いざ獲物を捕まえたり押さえたりするときにその骨をアーチ状に伸ばすことができます。犬や猫は人間のように物を握ることまではできない代わりに指の機能を発達させて、それに近い働きをしているんですね。

★よく見える? 犬や猫は常に背伸びをしている★
 
犬や猫の立っている姿をよく見てみましょう。踵(かかと)がどこにあるかわかりますか? そうなんです、犬や猫は常に“背伸び”をしている状態なのです。前足も指先だけで立っており、前足の上のほうにある小さな肉球が、人間でいうちょうど手首に当たるところになります。人間がつま先からかかとまで足の裏全体で体を支えて歩くのに対し、犬や猫は4本足ではあるものの、指だけで体重を支え歩きます。ですから踵の骨が人では発達しているのに対して犬や猫はとても小さな骨しかありません。これははるか昔から狩りをしていた犬や猫にとって、地面についている面積が少ない方がより足を蹴り上げる労力を減らすことができ、速く走れるからだといわれています。


★猫の背骨は柔らかい?★

先ほど胴体が長いというお話しをしましたが、その骨格である背骨一つ一つの形も犬では人よりも細長く、猫はさらに細長い形をしています。しかも犬や猫は人間よりも胸椎や腰椎の数が多いので、人間に比べて猫の背中がとても長いことが納得できるでしょう。そしてその長さがあってこそ、背中を柔軟に曲げることができるのです。人間が背骨を曲げて歩く「猫背」という言葉はまさにここからきているんですね。


★短足犬の秘密★

特に犬では、犬種によっていろいろな体型があります。しかし足が短くても体が大きくても胴長でも犬は犬、骨の数はすべて同じです。
「じゃあ骨の数が同じなら、短足犬の足の骨はどうなっているの?」と思うかもしれませんね。正確に言えば、それぞれの体型によって骨の「形」が変わります。足の短い犬は、例えて言うなら低いテーブルの太く短い脚のような骨の形をしています。そう考えると、一般的な犬に比べ関節をスムーズに動かしづらいのがおわかりでしょう。その骨の形の違いがもととなり、無理をすると脱臼など骨格系の病気を起こしやすくなってしまうこともあります。