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8月のColumn ☆お散歩後は指の間をきれいに☆

通常ワンちゃんをお散歩に連れて行くとき、ワンちゃんは「はだし」ですよね。お散歩から帰ってきておうちに上げるとき、皆さんはどうしていますか? 毎回たらいに水を張って足を洗っていますか? それとも雑巾でささっと拭くだけですか? 実際のところ、どうするのが健康面で考えた時に最もよいのでしょう?


★ワンちゃんの足裏は汚れやすい★

ワンちゃんが体に汗をかくことができないことは犬を飼われている人ならご存知だと思います。実は肉球の周囲には汗腺が発達していて、その部分は人と同じような汗をかくことができます。肉球を触るといつも何となくしっとりとしていますよね。肉球が湿っているのは、肉球の弾力性を維持したり、滑り止めの役割を果たすためと言われていますが、この湿り気が時として汚れがつきやすくなる原因となることもあります。土足のまま家にあげてしまったら、家の中に砂や土ぼこりを持ち込んだり、フローリングに足跡がついてしまうのはそのためです。


★こんな仕草が見られたら要注意★

足をきれいにするのは単に室内をきれいに保つためだけではありません。ワンちゃんの皮膚を健康に保つためにもとても重要なことです。肉球の周囲を汚れたままにしておくと、適度な湿度と温度が保たれた指の部分は細菌の温床となってしまいます。もしそこに小さな傷ができてしまったり、アレルギーなどで皮膚のバリア機能が弱くなっていたら増殖した細菌はたちまち皮膚にもぐりこみ、炎症をおこしてしまうでしょう。
そうなると痒みと痛さからワンちゃんはしょっちゅう指を舐めるようになります。舐めることで指の間は常にびしょびしょの状態になり、口内細菌も感染して炎症はさらにひどくなり、もっと舐めるようになる悪循環に陥ってしまいます。

★指間炎★

このような、ワンちゃんの短い指の間の部分に皮膚炎ができてしまった状態を指間炎(しかんえん)と言います。指間炎は皮膚のほんの一部の炎症ですから大したことはないと思われるかもしれません。しかし、痒くて舐めて、また痒くなるという悪循環を繰り返しているとしまいには皮膚は真っ赤に腫れあがり、膿が出るようになったり、毛が抜けてきてしまいます。痛みから足をちゃんと地面について歩くことができなくなってしまうことすらあるのです。一度なってしまった指間炎は治すことが難しく、完治には長い時間がかかるります。


★爪周囲炎★

指間炎の原因となる細菌がもし爪の根元の皮膚に及ぶとその治療はさらに困難なものとなります。皆さんも爪のすぐ横の皮膚がささくれになって、そこからばい菌が入ってとても痛い思いをしたことが一度はあるのではないでしょうか。爪の根元の内側には外用薬は届きませんから、あまりに長く治らない場合には飲み薬による治療を行ったり、全身麻酔による手術で感染部位を切開しなければいけなくなってしまうこともあります。


★足裏の毛をカットしよう★

では、足を常に清潔に保つためには、どうしたらいいのでしょうか。まずは湿気がこもりにくく、汚れがつきにくくなるように、足裏の余分な毛は常に短くカットしておきましょう。犬種によっては常に伸びつづけて気がついたら肉球を覆っていたということもあるので、定期的にチェックをすることが大切です。もし、おうちでするのが難しければ、トリマーさんに頼んでみてもよいでしょう。


★足の洗い方★

人によっては毎日お散歩から帰ってくるたびにシャンプーでよく洗ってタオルで拭いてから家にあげている人もいるようですが、毎日シャンプーをすると逆に皮膚の表面にある皮脂バリアを取り除いてしまい、カサカサした炎症をおこしやすい皮膚になってしまうこともあります。シャンプーをするにしても、ごく薄いシャンプー液を作ってその中に浸すようにして洗うだけでも十分でしょう。
そして大切なのはそのあとの乾燥です。タオルでささっと拭くだけでは指の間の湿り気は取れません。できれば低温のドライヤーでしっかりと指の間を広げながら乾かす必要があります。でも、毎日それをしていたら時間がかかって仕方がないですよね。ですからもし時間があまりなければよく絞った濡れタオルで指の間まで丁寧に拭いて、そのあと乾いたタオルでもう一度よく拭いてあげるといいでしょう。そのときに皮膚や肉球に赤くなったり傷がついている場所はないか、爪が割れたりしていないかをよく確認しましょう。
もしワンちゃんで高齢になってきて肉球がかさかさとしてひび割れてきているようなら、そのあとで肉球専用のクリームをよくすり込んであげると良いでしょう。


★おわりに★

もともとワンちゃんの指は「ぱー」の状態をしつづけることが難しいため、いったん指の間が湿ってしまうとなかなか乾燥しません。ですから本来は毎日のお手入れであまり濡らさないほうがいいのですが、日本の住宅事情では足を洗わないと室内で一緒に暮らせないケースも多くあると思います。洗う時には是非、乾燥を心がけてお手入れをしてあげてください。特にアレルギー体質で皮膚が弱いワンちゃんや高齢になって感染症を起こしやすくなっているワンちゃんなどはよく気をつけてあげてください。