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ショック状態とは  〜ビックリするのがショックではありません〜【その他】

よく「えー、そんなことがあったなんて、ショック!」というふうに、私達は日頃何気なく「ショック」という言葉を使いますよね。ですから、動物病院で「ショック状態になっています」と聞いても「病気になってビックリしちゃったのかしら?」と思われる方が多いようです。しかし、病院で使う用語としての「ショック」状態とは、実は命に関わる重大な症状なのです。


★ショックとは★
 
医学用語としてのショックとは、さまざまな原因によって全身に血液が流れなくなり、体の各場所で酸素不足の状態が生じる状態のことを指します。私達の体は血液から酸素や栄養を隅々まで運ばれることによって生かされています。ですから、ショック状態になってしまったら、速やかにその状態を改善するための治療を始めないと、体のあちこちの臓器が不全をおこし、死を招くことになってしまいます。



★ショックをおこす原因★

様々な原因でショックを起こすことが知られています。主なものを挙げてみましょう。
・  出血によるショック
けがなどによって短時間に大量に出血してしまった場合、全身の血液が少なくなってしまうため、血圧が低下して全身に血液を流せなくなってしまい、ショックが起こります。
・  やけどによるショック
広範囲に重度のやけどを負ってしまうと、皮膚の血管から液体成分が大量に染み出てきてしまうため、やはり血液の全体量が少なくなり、ショックに陥ってしまいます。
・  心不全によるショック
心臓の働きが悪くなって十分な血液を全身に送り出すことができなくなってしまうと、やはりショックになってしまいます。
・  敗血症によるショック
細菌の毒素によって、末梢血管が拡張したままになってしまうことがあります。すると中身の量が変わらずに容積だけ増えた太い管では液体はゆっくりとしか流れることができないため、ショックをおこしてしまいます。
・  アナフィラキシーショック
食べ物や薬品などが原因となって激しいアレルギー反応がおきると、毛細血管から体液が染み出てくるのと同時に、末梢血管が拡張して、敗血症の時と同じように血液の流れが悪くなってショックをおこしてしまいます。




★ショックを起こしたときの症状★

ショックをおこしてすぐは次のような症状が見られます。
・全身が低酸素状態になるため、元気がなくなって動こうとしません。
・なるべく酸素を取り入れようと、浅く速い呼吸をします。心拍数も早くなります。
・体の末端に体の中心からの温かい血液が行かなくなるため、手足は冷え、歯茎や結膜などの血色が悪くなって白っぽく見えるようになります。また、末梢血管再充填時間(CRT)といって、歯茎を指で抑えて、再び血色が戻るまでの時間が健康であれば1秒以内であるところが、数秒かかるようになってしまいます。
これらをそのままにしておくと、
・意識がなくなって、呼びかけにも反応しなくなります。
・呼吸は逆にゆっくりになり、不整脈などが見られるようになります。
・体温が37度以下になり、からだを触ると冷たく感じるようになります。
といった症状が見られるようになり、死に至ってしまいます。



★ショックを起こしたときの対処法★
 
どのような場合でも、ショックを起こしている動物は一刻も早く動物病院で処置をおこなってもらわないといけません。すぐに動物病院に連絡をして、指示を仰ぎながら連れて行きましょう。
もし、けがで出血をしている場合は止血を行いながら(応急処置・止血法http://pet.goo.ne.jp/contents/firstaid/cn_456.html にリンク)、呼吸が止まっている場合には人工呼吸を行いながら(応急処置・呼吸法 http://pet.goo.ne.jp/contents/firstaid/02.html にリンク)できるように、日頃から応急処置の方法は頭に入れておいたほうがいいでしょう。
また、体温が低下している時には全身を毛布で包んであげましょう。運ぶ時にはなるべく体を水平にして、体の一部に無理な力がかからないように気をつけましょう。




★かなり重症であるということを理解しましょう★

病院に連れて行ったら、すぐに点滴や酸素吸入などの処置を行い、けがや感染症といったショックの原因となるものの治療を開始しますが、それでも手遅れになってしまう場合があります。
ショックはかなり危険な状態であることを覚悟しておきましょう。





「ショック」という言葉ほど、通常使われている意味と、医学的な意味が異なるものはないかもしれません。獣医師もいつもなるべくわかりやすい言葉で説明するように心がけていますが、もし説明の中で少しでも疑問に思う部分があればすぐに聞いて、お互いに誤解のないようにしましょう。

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ショック 犬 猫