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動物まめ知識

動物看護師さんの1日 【動物まめ知識】

動物病院における看護師さん、動物看護師は今とても人気のある職業です。これを読んでいらっしゃる方の中には「動物看護師って動物と一緒に仕事ができてとっても楽しそう」と思っている方もいるのではないでしょうか? そこで、動物看護師とは具体的にどのような仕事なのか、今回は動物病院に勤める一人の動物看護師、A子さんのとある一日を追ってみましょう。


★朝一番にすること★

朝一番に動物病院に出勤してきたA子さんはまず、真っ先に入院舎へ向かいます。前日から入院している子の状態をチェックしたり、お預かりしている子に変化がないかどうかを確認するのです。特に変わったこともなく、ほっとします。
それから、白衣に着替えて病院全体の清掃にとりかかります。以前、先輩より「掃除は病院として衛生管理をきちんとする、ということと同時に、来院した飼い主さんとペットが気持ちよく過ごせるような病院にするという意味もあるのよ」と言われたA子さんは、時には消毒剤や消臭剤も使いながら、すみずみまで目線を配り、快適な空間を準備していきます。


★入院しているペットのお世話★

入院舎にいる子のお世話は診療が始まる前になるべく済ませておかなければなりません。A子さんはお預かりしているだけの元気なワンちゃんを運動させ、1頭1頭に合わせたご飯を用意して食べさせ、入院舎の掃除を手早く済ませていきます。そしてそのあと獣医師の指示にしたがって、入院治療中の子の体温を測り、点滴に使う薬を準備しました。すべての子の状態をカルテに記入しているうちに、あっという間に診察時間がやってきてしまいました。A子さんは動物病院の扉の鍵を開けに表に向かいます。


★受付の仕事★

A子さんが勤める動物病院では動物看護師は受付の業務も兼任しています。ときどき「人と対応するのが苦手なので動物関係の仕事につきたい」という方がいらっしゃいますが、動物看護師はそのような人に向いている仕事とはいえないでしょう。物言えぬ動物たちが今どのような状態なのかを理解するにはまず十分に飼い主さんから話を聞き取って、さらに質問、返事と話を積み重ねることによって「ペットがどういう状態で、飼い主さんはどうしてほしいと望んでいるのか」ということを正しく理解し、さらにそれを獣医師に伝えられなければ動物看護師にはなれないからです。A子さんは「動物看護師はいわばペットたちの代弁者。飼い主さんと獣医師の橋渡し的な存在なんだよ」という看護学校時代の先生からの言葉を思い出しながら受付に座ります。
受付では新しく来院したペットのカルテを作成したり、引き続き来られている方のカルテを準備したり、といった事務作業もこなさなければなりません。A子さんの病院はカルテをパソコン管理しており、キーボード操作が苦手なA子さんは始めのうちは少し時間がかかりましたが、今では全く問題なく作業をこなしています。
来院されている方の対応をしている最中に電話が鳴ればその対応もしなければなりませんし、業者さんが来られた場合にはその対応もしなければなりません。今日は宅急便でドッグフードがまとめて届いたため、A子さんは1つ20kgもあるフードの袋を5つ、奥の倉庫にすばやく運び込みました。最近、腕に筋肉がついたんじゃないかしら、と思うA子さんです。
いろいろなことをしながらも、待合室で待っているペットの状態には常に気を配ります。もし、病態が急変した時にはすぐに対応しなければなりませんし、待合室にいるペットがおもらしをしてしまったり、ペット同士が喧嘩を始めてしまいそうなときにはすばやくその対応をしなければいけないからです。A子さんは様々なことに気を配りながら仕事を続けていきます。


★お薬や病気の説明★

診察を終えて帰られる飼い主さんに、お渡しするお薬を準備して説明をするのも動物看護師の重要な仕事の一つです。どんなお薬でも処方を誤れば毒となってしまうため、必ず獣医師の指示どおりに用意できるよう、A子さんは何度もカルテを確認しながらお薬を準備します。今回はペットにお薬を飲ませるのが初めての飼い主さんだったため、飲ませ方の説明も丁寧に行います。


★診察室での仕事★

私たちが一番動物看護師らしいと思う場面は、獣医師の補佐として診察室に入っているときではないでしょうか。当たり前の話ですが、動物病院の患者さんは動物です。彼らはいくら病気を治す治療だと言っても、痛い注射や、辛い姿勢でいることに我慢ができません。診察室という自分の知らない場所に連れてこられた、というだけでパニックになって逃げ出そうとする子もいるでしょう。そんなときに動物の不安を少しでも和らげ、また動物を抑えるので手一杯な獣医師に手早く検査や治療を行えるように手伝うのが動物看護師の診察室内での主な仕事です。A子さんは前もって診察に必要な道具をそろえたり、獣医師に治療器具を手渡したり、獣医師が採取した検体を検査室に持っていったりと、診察室内でも忙しく働きます。今回はワンちゃんから採血(血管から血を採ること)を行うことになりました。A子さんは獣医師が確実に検査を行うことができるように、「保定(ほてい)」と呼ばれる、動物が動かないように押える方法で獣医師をサポートします。
そのあと、獣医師の指示によって体温や心拍数を測ったり、検査用の便を採取したり、包帯を巻くなどの簡単な処置を行ったり、仕事は次々とやってきます。


★診察時間中の裏方の仕事★

診察中、見えないところでも動物看護師はフル稼働しています。A子さんは病気が疑われるペットの検体を検査するように言われました。血液を遠心分離機にかけて血清を取り出したり、その血清を一定の手順で検査機械に入れて測定したり、試薬や検査紙を使って尿検査を行ったり、顕微鏡を使って糞便検査をしたり、細かな作業が続きます。
そしてそのあとは獣医師と共にレントゲン室に入って、ネコちゃんがレントゲンを撮影する時に動いてしまわないように押え、撮影が済んだあとはフィルムを現像する作業も行いました。


★お昼休みにみんなで話すこと★

ようやく午前中の診察が済み、皆で昼食タイムです。A子さんもほっと一息ついています。食後にみんなでする話の内容は午前中に来られた患者さんの話です。●●ちゃんは他のワンちゃんと相性が悪いので、次に来られる時にはなるべく待合室にいる時間を短くするようにしましょう、などという情報を皆で共有します。
あと、今週から新製品で入ってきたドッグフードについて、その特徴が書かれたパンフレットを皆で回し読みをして、飼い主さんに説明できるようにしました。


★手術の助手★

今日は午後にネコちゃんの避妊手術が一件入っています。A子さんは獣医師の先生に助手として手術室に入るように言われました。実際に手術をするのはもちろん先生ですが、先生と同じように手術着を着て帽子とマスク、グローブをつけるのですから、緊張感がA子さんを包みます。手術中、A子さんは先生の指示どおりに器具を渡したり、ガーゼで傷口をぬぐったりします。前回は腫瘍を切除する手術で大量の出血が見られ、途中で少し辛くなってしまったA子さんですが、今回は何事もなく短時間で手術は終りました。麻酔から覚めたネコちゃんを入院舎に移し、手術器具の後片付けをしているうちに午後の診療が始まりました。


★時には大変なことも★

地元の動物愛護団体の方が野良猫を捕まえた、といって連れてきました。ケージに入っているネコちゃんはいかにも凶暴そうです。シャーシャーという声を出しながら、少しでも近づくと鋭い爪でネコパンチを繰り出してきます。A子さんもケージを持とうとして手を引掻かれてしまいました。人に慣れていない動物の経験がないA子さんはそのあと、少し離れて見ているように、と言われてしまいました。野良猫はケージからネットの袋に移されて、袋越しに治療が行われ、帰っていきました。A子さんは役に立たなかった自分が悔しく、次は引っかかれないように注意して、ちゃんと診察の役に立つようになろう、と心に誓うのでした。


★飼い主さんからの相談★

動物看護師は飼い主さんから見れば獣医師よりも親しみのある、話しかけやすい存在なのでしょう。A子さんも受付でよく飼い主さんから病気以外のことで相談を受けます。今日はワンちゃんを飼っている飼い主さんから「1人で留守番をさせると鳴き叫んだり、クッションをびりびりにしたりして困る」という相談を受けました。A子さんはたまたま前回のしつけの勉強会で「犬の分離不安症」という病気について聞いたばかりだったので、出かけるときにはなるべくそ知らぬ顔をして出かけなければいけないこと、お留守番は少しずつ時間を伸ばして慣れさせなければいけないこと、あまりひどい場合には精神安定剤などのお薬を使って治療をすることもあることを説明し、近いうちに獣医師にも相談したほうがいいことを伝えました。A子さんはしつけの勉強会に参加しておいて本当に良かったと思いました。


★一日のおわり★

午後の診療もなんとか終りました。時には診察時間が終ったあとでも急患の電話が鳴ることがあるのですが、今日は何もなさそうです。入り口に鍵をかけたあと、A子さんは朝と同じように入院舎の世話をして、病院内の掃除をして今日一日の仕事が終りました。白衣を着替えて帰路につきます。


★動物看護師に必要なこと★

このように、一日の仕事の内容がどのようなものか読んでみるとお分かりだと思いますが、動物看護師はいわば動物病院の何でもやさんです。もちろんA子さんが勤めている病院よりもっと大きな病院なら受付専門の人や入院舎掃除専門の人などがいて、動物看護師はそのようなことはしなくてもいいかもしれません。しかし、動物看護師に求められる資質は動物に関して何でもできる、いろいろなことに気を配れる、ということなのです。
単に動物が好きというだけでは勤まらない、体力も必要で、精神的に辛いこともある動物看護師という仕事。もしそれでもなりたいと思われる方がいらっしゃったら、是非頑張って素敵な動物看護師さんになって欲しいと思います。

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