獣医師や看護師が贈るペットコラム
獣医師や看護師が贈る
ペットコラム

いつでも元気にいて欲しいからここからコラムをお届けします

ペットクリニックHOME » 病気と予防 » 一覧 » ペットがいびきをかいて寝ている!?【呼吸循環器】

呼吸循環器

ペットがいびきをかいて寝ている!?【呼吸循環器】

ペットが無防備な姿で、ぐっすりと寝ている姿はとても可愛いですよね。愛するペットはその寝息すらも愛しいものです。でも、中には「うちの子、寝ると必ずいびきをかくの。それもすごく大きな音でとってもうるさくて、可愛いというよりはちょっと、ね」と言う方もいらっしゃるかもしれません。ペットの中には確かにいびきをかきやすい種類の子もいます。そして、そのいびきがあまりにひどい場合には何らかの病気を示していたり、いびきをそのままにして健康状態を悪化させてしまうことさえあるのです。たかがいびきと侮ってはいけません。


★いびきのメカニズム★

いびきはどうしておきるのでしょうか。犬や猫が呼吸をするとき、その空気の通り道は、口もしくは鼻→咽喉頭部(のど)→気管→気管支→肺となり、通常呼吸をしている時に何の音もしないのはこの通り道が十分に広く、スムーズに空気が通過しているからです。ところが眠ってからだが弛緩したときに通り道の一部が狭くなってしまうと、そこの空気が振動して音が出ます。これがいびきです。
人もペットも同じですが、口を大きく開けて中をのぞいてみたとき、上あごの奥に軟口蓋(なんこうがい)と呼ばれる柔らかい膜状の組織が見られます。人の場合、さらに中央部が垂れ下がって口蓋垂(こうがいすい)と呼ばれることもある部分です。軟口蓋は通常、食べたものが鼻のほうに逆流しないようにする働きがありますが、たとえば、これが長すぎて空気の通り道をさえぎっていると、その部分が空気が通る度に「ガガガガ…」と振動していびきとなります。薄い紙を唇に押し当てて息を吐くとブルブルとふるえて音が出ますよね。それと同じ原理です。
また、軟口蓋だけでなく、鼻の粘膜や気管の膜状になっている部分でも同様のことがおきて音が出ることがあります。


★いびきをおこす病気★

ペットがいびきをおこす原因はさまざまです。最も多いのは前述の生まれつき軟口蓋が長すぎて呼吸のたびに振動をおこす「軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう)」という病気です。
また、猫ウイルス性鼻気管炎などで鼻炎をおこし、鼻粘膜が腫れたり、鼻腔が分泌物で狭くなってしまった場合にもよくいびきが聞かれます。
さらに、気管虚脱と言う病気で気管の膜状の部分がたるんで通り道が狭くなってしまった場合や、鼻腔や咽喉頭部に腫瘍が出来て空気の通り道を狭めてしまった場合、太りすぎてのどのまわりに脂肪が蓄積してしまった場合、心臓病で心臓が肥大し周囲の気管支を圧迫したような場合にもいびきのような大きな呼吸音が聞かれることがあります。


★いびきをおこしやすいペット★

いびきは犬でも猫でも鼻のつぶれた短頭品種に見られることが多いようです。犬ならばブルドッグ、パグ、フレンチブルドッグ、ペキニーズ、シーズー、ボストンテリアなど、猫ならばペルシャやヒマラヤンなどです。これらの品種は鼻がつぶれているために鼻腔が狭く、また鼻が短い分、軟口蓋が長いため余計にいびきをかきやすいといわれています。
また、気管虚脱はチワワ、マルチーズ、ポメラニアン、ヨークシャーテリアといった小型犬に多く見られ、特に年をとるにつれて悪化していくため、これらの犬種が高齢になってからいびきをかき出したと言う場合には注意が必要です。


★いびきをそのままにしておくと★

短頭種のペットの生まれつきの軽いいびきであればそれほど気にすることはありませんが、年をとってきてから出てきたいびきやだんだんひどくなるいびきは多くの場合、前述のような病気が原因であることがほとんどです。また生まれつきの軟口蓋過長症も過度の運動や興奮、暑さによって症状が悪化することがあり、普段からいびきのような「があー、があー」という呼吸音が聞かれるようになることがあります。このように普段から呼吸が苦しそうだったり一瞬息が詰まるような症状が見られるようであれば、呼吸を邪魔している疑いがあり、そのままにしておくと全身の酸素が不足してしまいます。また、犬は汗をかくことが出来ないため、通常呼吸をすることによってからだの熱を外に放散しますが、いびきの原因となるような気道が狭くなる状態になると素早く熱を出すことが出来なくなるため、熱射病になりやすくなってしまいます。


★もしいびきが出るようになったら★

もし、いびきがどんどんひどくなるようであれば、獣医師に相談して何らかの治療を行ったほうがよいでしょう。原因として肥満が考えられるのであれば、まずはダイエットをすることが先決です。感染症による鼻炎が疑われる時には抗生物質や消炎剤を使って治療を行っていきます。軟口蓋過長症もあまりにひどい場合は手術によって長すぎる部分を切り取るという方法があります。
そして、それと同時に暑い環境で寝かさない、興奮をさせない、ストレスを与えないなどのいびきを悪化させる原因を極力取り除くように努めましょう。


人でもいびきは「睡眠時無呼吸症候群」などを引き起こす原因として知られ、現在では積極的に改善策、治療が行われています。ペットの場合もたかがいびきと考えず、ひどくなる前に一度動物病院で診てもらうようにしましょう。

キーワード

いびき 寝る 音