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11月のColumn ☆心臓が悪くなってしまったら??☆

心臓病はペットで比較的よく見られる病気です。特に高齢で小型のワンちゃんのほとんどは「僧帽弁閉鎖不全症」という心臓病になっているとも言われています。もし、歳を取ったペットに心臓病がみつかってしまったら飼い主としてどんなことに気をつけてあげれば良いのでしょうか?
今月は心臓とうまく付き合う方法をお話します。



☆心臓病は治せない?☆

人にもペットと同じような心臓の弁膜がうまく働かなくなる病気があり、そうなってしまった場合、心臓自体にメスを入れたり、人工の弁と取り替える手術法などが行われることがあります。しかし、それは人でもとても大変な手術です。体の小さなペットではとても負担が大きく、まだそのような治療法は確立されていません。ペットの心臓は歳を取って壊れてしまったらもう元通りに治すことは出来ないといってもいいでしょう。しかし、では何もしないでただ病状が悪化していくのを見守るしか出来ないのでしょうか? いえいえ、もし病気を早期に発見することが出来れば、心臓に負担をかけないような生活を心がけることによって治すことは出来なくても病状の進行をゆっくりにすることが出来るのです。
では、心臓に負担をかけない生活とはどのようなものか、見ていきましょう。


☆食事管理☆

まず毎日の食事を考えてみましょう。ナトリウムとは食事の中に含まれているミネラルの一つで、簡単に言ってしまえば塩のことですが、特にしょっぱくなくてもどのペットフードの中にも含まれています。そして、体内のナトリウム(塩分)の濃度が上がると、それを薄めようと体の中に余分な水分も一緒に蓄えられるようになります。水分が溜まるということは体液(血液)が増加することでもあり、その結果心臓は余計に多くの血液を循環させようと負担が増えてしまいます。弱った心臓をこれ以上疲れさせないためにナトリウムの量にはくれぐれも気をつける必要があります。今では低ナトリウムの心臓病用処方食というものもあるため、獣医師に相談してみましょう。
また、当然のことながら「太りすぎ」は確実に心臓に負担をかけてしまいます。肥満の改善ために毎日の食事の量やカロリーにも気を配る必要があるでしょう。


☆運動☆

ペットは人と違って自分でジョギングをしようとは思いません。もし、心臓疾患で呼吸が苦しければじっとしたままでお散歩にも行きたがらないでしょう。しかし、安静にしていればそれほど症状があらわれないほど軽度の場合や、お散歩に行かないとトイレをしないという癖がついているのであれば、多少苦しくても外に出ようとするかもしれません。運動はあくまでもペットのペースでゆっくりと歩かせましょう。階段や坂などはなるべく避けるようにし、ワンちゃんが飼われている家や大きな音のする場所など前もって興奮することが分かっている場所はなるべく避けるルートを選びましょう。トイレだけのお散歩であれば、目的地までおうちの人がだっこしていってもいいかもしれません。
もし、心臓の働き以上に体を動かしてしまったら、チアノーゼといって舌の粘膜が紫色に変色する症状が見られるため、そうなった場合は直ちに安静にさせて獣医師の判断を仰ぐようにしましょう。


☆家庭内での過ごし方の注意点☆

心臓病のペットの環境で最も注意しなければいけないのは、温度管理です。冬の寒さが心臓に負担をかけることは良く知られていますが、ペットの場合これからの季節にも注意が必要です。特にワンちゃんは暑さに弱く、汗もかくことが出来ないため暑くなったら自ら呼吸を激しくさせて口から熱を放散させますが、それは心臓に大きな負担をかけることになります。だからと言ってクーラーを効かせすぎてしまうと、今度は外との温度差で血圧が上がってしまうこともあります。これからの季節は風や日陰を利用して自然のひんやりとした空間を作る工夫をしてあげましょう。
温度管理でもう一つ気をつけなければならないのは、シャンプーをする場合です。シャンプーはペットにとって非常にストレスとなり体力を消耗するところに加え、シャンプーあとのドライヤーは心拍数が上がっているところに熱風を吹きかけるのですから心臓には大きな負担となることを理解しておきましょう。


☆精神面での注意点☆

心臓に最も負担をかけるのは興奮とストレスです。もし元々チャイムが鳴るたびに興奮してしまう場合にはチャイムを切ってノックに変えたり、家族以外の人が苦手ならば来客を控えてもらったり、他のペットと喧嘩ばかりするようなら部屋を分けたり、どうしたらペットの精神が平穏でいられるかをよく考え家族全員で工夫をするようにしましょう。またペットは家族の精神面にも非常に敏感です。家庭内のいざこざはなるべく避け、優しい気持ちでペットに接してあげることもとても大切なことです。


心臓病、特に高齢になって発症する弁膜症はなるべく早く発見し、その状態をどれだけ悪化させないで日々を過ごすかということが最も重要です。早期発見するためには定期的に健康診断をしましょう。そして見つかってしまった心臓病に対しては、病気とつきあっていくという気持ちで望みましょう。ゆっくり、のんびりとおうちの人と過ごすことでまだまだ元気で長生きをさせることは可能なのです。