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寄生虫

ネコちゃんにもフィラリア症?? 【寄生虫】

フィラリア症という病気はワンちゃんを飼っていらっしゃる方ならもうおなじみの病気ですよね。「犬フィラリア(犬糸状虫)」と呼ばれる寄生虫が感染することによってワンちゃんの心臓が弱ってしまい、咳や腹水がみられ、最終的には死を招く恐ろしい病気ですが、この病気が実はネコちゃんにも見られることがあることをご存知でしょうか?


★ネコちゃんのフィラリア症★
フィラリア症の原因となる寄生虫は「犬フィラリア」と呼ばれるそうめんのような細長い寄生虫で、つい最近までは犬科の動物だけが症状を示すと思われていました。しかし、最近の研究で本来の宿主ではないネコちゃんにも犬フィラリアが寄生し、ワンちゃんと同じように心臓で成虫になり重篤な症状を示すことがあるということが分かってきました。  
今まで発見できなかったのは、ワンちゃんほど感染率が高くないことと、ワンちゃんとネコちゃんではフィラリア症の症状が異なり、ネコちゃんの場合は原因不明のまま突然死してしまうことがほとんどだったからです。


★感染★
ネコちゃんへの犬フィラリアの感染ルートはワンちゃんと同じで、蚊を介して感染します。まず、フィラリアに感染している動物の血を蚊が吸うとその血液の中にはフィラリアの子虫である「ミクロフィラリア」が含まれています。このミクロフィラリアは蚊の体内で第三期子虫(L3:感染子虫)と呼ばれる状態まで成長をします。そしてこの蚊が次にネコちゃんの血を吸うときにこの第三期子虫が蚊の唾液と共にネコちゃんの体内に入り込み、感染してしまうのです。子虫は成長をしながら皮膚を移動して血管内に入りこみ、約半年をかけて心臓に到達して成虫となります。犬フィラリアにとってネコちゃんは本来の宿主ではないため、蚊から感染した第三期子虫の全てが成虫にはならないといわれています。しかし、体の小さなネコちゃんはたとえ一匹でも心臓に到達してしまったら致命的です。


★症状★
ネコちゃんが犬フィラリアに感染すると、犬フィラリアが血管内を移動していく過程で咳、苦しそうな呼吸、元気消失、食欲減退、吐き気などが見られることがありますが、一時的なもので治まってしまうため、単純な気管支炎やアレルギーとして扱われてしまうことがあります。なかには全く症状が見られないこともあり、感染したことが分からない場合がほとんどです。
そしてその後、犬フィラリアが2〜3年で寿命がきて心臓内で死んでしまうとそれが血液の流れで運ばれて肺の血管に詰まって、血行障害や炎症をおこしてしまうのです。体の急激な拒絶反応(アナフィラキシーショック)をおこして突然死をしてしまうこともあります。


★診断★
通常ワンちゃんの場合、犬フィラリアに感染しているかどうかは、血液の中に犬フィラリアの子虫であるミクロフィラリアの存在を顕微鏡で確認するか、犬フィラリアの抗原や抗体の存在を血液検査で調べるかのどちらかで判定されています。しかし、寄生数の少ないネコちゃんの場合、そのどちらでも正しい判定を下すことが出来ない場合があります。 
また、フィラリア症特有の症状というものがないため、通常の診察ではネコちゃんの犬フィラリア症を診断することはとても困難です。


★治療★
いったん犬フィラリアが心臓内に入ってしまったら、それを駆除することはとても困難です。頚静脈から特殊な器具を使用して心臓内のフィラリアを除去する外科手術を行うこともありますが、リスクが大きく確実な治療法ではありません。これ以上犬フィラリアが感染しないような予防を行いながら、呼吸困難やアレルギーといった症状を抑えつつ今いる犬フィラリアの寿命を待つという方法をとるくらいしか方法がないのが現実です。


★予防★
今ではネコちゃんにもワンちゃんと同じような月1回の予防薬があり、それを定期的に服用することによって確実に予防をすることが出来るようになりました。蚊から感染した犬フィラリアの子虫を血管内に到達する前に体内で殺してしまうタイプの予防薬なので、蚊が出現し始めてから、蚊が見られなくなってから1ヵ月後まで続けることがとても大切です。ワンちゃんを飼われている方でもよく「うちは室内で飼っているからフィラリアは大丈夫。家の中で蚊取り線香もたいているし」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、私たちも家の中で蚊に刺されることがありますよね。蚊に刺されない100%の予防はないと思っていたほうがいいでしょう。



ネコちゃんは犬フィラリアの正しい宿主ではありません。ですからワンちゃんほど実際に感染する率は少なく、野良猫の約5%が犬フィラリアに感染している可能性があるという報告があります。この5%を多いと見るか、少ないと見るかはそれぞれの皆さんの感じ方だと思いますが、現在日本にはまだまだフィラリア症になっているワンちゃんがたくさんいること、ネコちゃんがフィラリア症になってしまうと死亡してしまう確率が高い、ということを考えると、ネコちゃんでもフィラリアの予防をしたほうが良いといえるでしょう。予防薬についてはかかりつけの動物病院に相談してみてくださいね。