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皮膚

梅雨時に見られやすいペットの皮膚病「ホットスポット」について【皮膚】

梅雨から夏にかけての時期、ある日突然ペットが体の一部を猛烈に痒がって、そこを見ると毛の一部がごっそり抜けていて、しかも皮膚がじくじくと湿疹をおこしていることがあります。それは蒸し暑い季節になるとよく見られる「ホットスポット」と呼ばれる皮膚病です。

☆ホットスポットとは☆

ホットスポットは別名「急性湿疹」もしくは「化膿性創傷性(外傷性)皮膚炎」と言われることもある皮膚病の一つです。皮膚が部分的に激しく炎症をおこしている状態で、そこの被毛はごっそりと抜け、皮膚は一見何でもないように見えることもあれば、掻き壊して出血して体液と膿でべとべとになっていることもあります。ペットは非常に痒がってしきりに舐めたり、患部を地面に擦りつけたりしますが、人が触ろうとすると非常に痛がってなかなか見せてくれなかったり、怒って噛もうとすることもあります。

☆ホットスポットの原因☆

ホットスポットの原因はまだはっきりとはわかっておらず、いくつかの誘因が重なり合った結果だといわれています。そのなかも一番の引き金になっていると思われるのはペット自身のアレルギー体質です。食べ物が原因となる食事性アレルギーやノミやダニに刺されることによって発症するアレルギー、アトピーなどによって皮膚炎がおこり、そこを舐めたり引っ掻いたりすることによって炎症が悪化し、さらには皮膚を傷つけて、そこから細菌が感染して化膿してしまうのです。夏の時期に多く見られるのは、高い気温と湿度によって毛の根元が蒸れてそこに細菌感染がおこりやすくなるからといわれています。
病変部は小さなものでは指先程度から大きい場合には手のひら大の脱毛が見られることもありますが、一旦発症したものがさらに広がっていくということはありません。また、アレルギー体質が原因の一つであることから、一度発症すると再発もよく見られますが、これが同居するペットや人に伝染するということはありません。

☆ホットスポットの特徴☆

ホットスポットの多くは首・肩から背中にかけて見られますが、足や顔などにもできることもあります。
アンダーコートが密生している犬種にでやすく、ゴールデンレトリバーやラブラドールレトリバー、柴犬などによくみられます。また、太っている子も皮膚に熱がこもりやすく、発症しやすいと言われています。
病変は皮膚表面だけですが、痛みと痒みが非常に強く、自分で血が出るほど掻き壊してしまうこともあります。
高温多湿のある日突然発症することが多く、前日までは何でもなかったのに朝起きたら毛が大量に抜けていたということもよくあります。

症状は?

飼い主さんは広範囲な脱毛で気がつくことがほとんどです。皮膚は熱を持ち、ひどい場合にはびらん状にただれて赤く見えたり、表面に膿が付着して黄色く見えたりすることもあります。出血や体液で周囲の毛もじゅくじゅくと濡れ、臭いにおいがします。ペットはひっきりなしに患部を舐めたり掻こうとして、落ち着きません。中には痒みから来るストレスでイライラと怒りっぽくなる子もいます。

治療は?

ホットスポットは部分的な皮膚病なので、病変部が小さい場合には患部を薬用シャンプーでよく洗浄した後に消毒、抗アレルギー薬や消炎剤、化膿止めの抗菌剤などの外用薬を使って治していきますが、病変部が大きな場合や症状がひどい場合にはこれらの内服薬や副腎皮質ホルモン(ステロイド)なども同時に使用してなるべく早く症状を改善させるようにしていきます。また、これ以上患部を舐めたり引っ掻いたりしないようにエリザベスカラーという円盤状の器具を首の周りに装着したり、背中に病変部がある場合にはTシャツなどを着せることもあります。
通常、きちんと治療を行えば痒みや痛みは数日で治まりますが、ちゃんと毛がはえてくるまでは数週間が必要となります。

☆ホットスポットの予防☆

ホットスポットに一度なったことのあるペットはその後も再発することが多いといわれています。アレルギー体質が疑われる子は一度動物病院でアレルギーの原因となる物質を調べてもらい、なるべくそれを避ける生活を心がけるとよいでしょう。また、ノミやマダニなど予防できるものに関しては夏が来る前からきちんと対策をしておきましょう。
さらに、ホットスポットは夏にシャンプーをしたり水遊びをしたあとにでやすいといわれています。それは毛を濡らしたまま高温の状態が続くと、毛根が蒸れた状態になり、細菌が非常に感染しやすい状態になるからです。おうちでシャンプーをした後はエアコンの効いた湿度の低い部屋でちゃんと根元までドライヤーで乾かしてあげるようにしましょう。

ペットはちょっとした皮膚病でも自分で掻き壊してすぐに悪化させてしまいます。表面だけの問題だから、と軽視せず皮膚の異常にはなるべく早く対応し、辛い痒みからなるべく早く解放されるように対処してあげてください。

キーワード

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