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寄生虫

ノミってこんな生き物【寄生虫】

ペットがしきりに体を痒がっていたので動物病院で検査してもらったら、ノミがついていた。春になったばかりなのにそんな話を最近よく聞きます。ノミの被害は夏だけだと思っていたのに、どうしてもうノミがいるのでしょうか? 普段はおうちの中で生活をしていて、外に行くのはお散歩で公園に行くくらいなのに、いったいどこでついてきてしまったのでしょう? そもそも冬の間ノミはどこにいたのでしょう? 
どうやら私たちはノミのことについてまだまだよく理解していないようです。



☆ノミを見たことはありますか?☆

漫画で見るノミはぴょーん、ぴょーんと地面を飛び跳ねていますね。しかし、実際に私たちが目の当たりにするノミは掻き分けたペットの毛の間をささっと走り去る黒っぽい小さな影です。大きさは約2ミリで形も全体に平べったい涙型をしているためにゴマのように見えます。非常に目の細かいノミ取り櫛を使うとしっぽの付け根や首輪の周りなどペットが自分で舐めにくい場所で比較的よく見つかりますが、非常にすばしっこいため捕まえるのはとても困難です。よくノミと間違えてしまう毛の根元にある黒い汚れの塊はノミの糞で、ノミが吸った血でできているため、湿ったティッシュの上に置いておくと溶けて赤い色がにじみ出てきます。


☆ノミの一生☆

卵:
ノミの卵の大きさは0.5ミリ程度で半透明の楕円形をしています。表面がつるつるしているため、ペットの体で血を吸っているノミが産んだ卵はすぐにペットの寝床や家の中の床に落ちます。卵は温度が16度以上、適度な湿度があれば数日で孵化しますが、適した状態でなければ何ヶ月も卵のままで条件が良くなるのを待っています。

幼虫:
孵化したノミの幼虫は半透明のイモムシのような形をしています。家の中ではペットの寝床の敷布やカーペットの中に潜んでいて、ペットのフケや成ノミの糞などを食べて大きくなります。順調に大きくなった幼虫は約1週間ほどで次のステップ、蛹(サナギ)になります。

蛹:
蛹は楕円形をした細い糸で作られた繭の中に入っています。低温や乾燥にも非常に強く、適した環境になるまで一年近く成虫にならずにじっとしていることができます。

成虫:
蛹から羽化した成虫はワンちゃんやネコちゃんなどが通りかかるのをじっと待っています。そして、振動や呼吸による二酸化炭素でその気配を察するとぴょーんと一気に自分の体の100倍もの高さまで飛びあがり、ペットの体に取り付いてすばやく毛の奥にもぐりこむのです。一度ペットについてしまったノミが体の上をピョンピョンと跳ねることはありません。毛の根元でひたすら血を吸っています。血を吸ったノミのメスは1〜2日後にすぐに卵を産むようになります。一日に約50個の卵を産みながら、状態がよければノミは120日も生存し、その間に2000個もの卵を産み落としていきます。つまり、オスメス2匹のノミがあっという間に2000匹になってしまうということです。


春先にノミの被害にあうわけ

このように、去年の夏に家の中に持ち込まれたノミが寒い冬の間は卵や蛹の状態で季節が良くなるのをじっと待ち、春に再び活動を開始するため、春にノミの被害はたくさん報告されるのです。温かくなってすぐに血を吸う成虫になれば、また卵を産み爆発的に増えてしまいます。さらに、ノミは成虫でも気温が13度以上あれば活発に活動することができるため、もし一日中エアコンの効いた部屋にノミの卵がいったん落ちてしまえば、季節なんて全く関係がなくなってしまうことだってあります。少し前までは、冬がとても寒い地方では一年を通してノミの被害はあまり見られなかったといいます。しかし、温かい地方からノミを持って引っ越してきたペットが室内で飼われるようになったため、今では地域によるノミの被害の差はあまりなくなってきているといわれています。


恐ろしいノミの被害

ノミはペットに痒みをもたらすだけではありません。ノミの唾液に対してアレルギーのあるペットは激しい痒みと共にひどい皮膚炎になり、毛が抜けたり、皮膚が傷ついたりしてしまいます。また、ペットにつくノミのほとんどはネコノミという種類ですが、これは時として人にも被害を及ぼすことがあります。さらに、ノミは条虫というお腹の中の寄生虫や猫ひっかき病と言われる人の病気の病原菌の運び屋としても知られています。



いったんノミアレルギーになってしまうと、たとえ1匹がついただけでもペットはひどい皮膚炎を引き起こしてしまいます。ですから生活空間のノミは根絶し、外からはノミをもらってこないことがノミの被害を予防することになります。ノミは成虫でもとても小さな虫ですし、卵に至っては1ミリ以下の大きさですから、目に見えるものだけを退治するような方法では到底追いつきません。ペットには寄生している成ノミを駆除する薬と共に、卵や蛹が成長しないようなノミ対策薬を使うことが大切です。そしてそれと同時にペットの寝床や室内のカーペット、家具の下などはこまめに掃除機をかけて、ノミの幼虫を駆除するようにしていきましょう。

キーワード

犬 猫 ノミ 寄生虫