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寄生虫

おなかの虫について [寄生虫]

ペットを健康診断に連れて行くと、おなかに虫がいないかどうか検便をして調べてみましょうと言われることがありますね。おなかの虫とはペットの消化管(腸)の中に住み着いてしまう寄生虫のことを指しますが、具体的にはどのような虫なのでしょうか?


★おなかの虫その1 回虫★

ペットに寄生する回虫は主に犬回虫、猫回虫、犬小回虫の3種類がいますが、どれもそうめんのような白くて細長い虫です。ときおり便の中にその姿を認めることで飼い主さんも気が付くことがあります。回虫の卵はペットの便と共に体外に排泄され、その卵を何かの拍子に口にしてしまう事から他のペットに感染していきますが、胎盤や乳汁を介してお母さんから子供に感染する事もあります。ですから外に出たことのない小さなペットでも感染している事があり、下痢や嘔吐、衰弱を引き起こしてしまいます。
消化管から入った回虫は腸管の壁から体内にもぐりこんで肺や肝臓などに移動する事があり、体の中をめぐる(回る)ことから回虫という名前がついているのです。
またペットの回虫は人へも感染する事があり、特に赤ちゃんなど免疫力の低い人はまれに脳や目に移動してしまう事があり、要注意です。


★おなかの虫その2 鉤虫★

鉤虫は体長1〜2センチくらいの白い細長い虫です。鋭い口を持ちペットの腸の粘膜に噛み付いて、血液を栄養として生きています。
大量に寄生されたときには、ペットはひどい貧血となり、黒っぽいベタベタした下痢(タール便)をするようになり、急速に衰弱してしまいます。痩せて毛ヅヤが悪くなり、出血性の腸炎を起こしているため、腹痛から常に背中を丸めた姿勢をとるようになります。
回虫と同様に、便と共に排泄された虫卵を口にしたり、お母さんから子供に胎盤や乳汁を介して感染する事がほとんどですが、まれに皮膚の傷から幼虫が体内に入り込んでしまうこともあります。


★おなかの虫その3 鞭虫★

回虫と同じように体長5〜6センチくらいの白くて細長い虫ですが、回虫よりもずっと細く糸のようにみえます。多くは盲腸に寄生し、頭である細いほうを腸に食い込ませています。少数の寄生では症状があらわれないこともありますが、大量に寄生すると下痢や腹痛、貧血などをおこし、栄養不良になってしまう事もあります。
ペットの便の中には虫卵が大量に入っていて、その便を土の上でしてしまうと、湿った土の中では長期間生存することができるため、一度おなかの中にいる鞭虫を駆虫しても虫卵がいる庭や公園などからは、何度も再感染してしまうことがあります。


★おなかの虫その4 条虫★

条虫の仲間は、多数の節がつながっているように見える非常に長い虫で、別名サナダムシとも呼ばれます。ひとつひとつの節がちぎれて出てくることがあり、そのような時には、ごまや米粒が便に混じっているように見えます。
ペットに寄生する条虫には何種類もあり、主なものには瓜実条虫、猫条虫、マンソン裂頭条虫などがありますが、特に瓜実条虫はノミを介してペットに寄生するため、よくみられます。マンソン裂頭条虫は長いもので2メートルにおよぶことがあり、カエルやヘビを介してペットに寄生するため、自分で小動物を捕らえて食べる田舎のペットでよく見られる寄生虫です。


★おなかの虫の検査★

通常、おなかの虫は検便をすることによってその虫卵があるかどうかを調べます。虫卵は大きさが数十ミクロンなので、顕微鏡でないと見ることはできませんが、それぞれの寄生虫によって特徴的な形をしているため、見つかればどの虫が寄生しているのかがわかります。
ただし条虫は他の寄生虫と異なり、虫卵を便の中に排泄するのではなく、虫卵が入った節をちぎって排泄するので、虫体そのものの存在を見つけて検査を行います。


★おなかの虫の退治:駆虫★

ほとんどのおなかの虫にはそれぞれに効果的な駆虫薬があります。お薬は錠剤やシロップの飲み薬の場合がほとんどですが、注射やスポットオンタイプの薬の場合もあります。それぞれの虫に合わせて薬を選び、決められた量を正しい間隔で投薬する必要があるため、必ず動物病院できちんと検査をしてもらった上でお薬を処方してもらうようにしましょう。
おなかの虫は周囲の環境から感染するため、一度駆虫してもまた次のお散歩の時に再寄生してしまうことはよくあります。一度寄生が確認されたペットは定期的に検査・駆虫を行う事が大切ですが、最近は毎月飲ませるフィラリアのお薬の中に回虫や鉤虫を駆虫するお薬が一緒に含まれていて、定期的に駆虫を行うこともできるようになっています。


おなかの虫は1匹2匹が寄生しただけではあまり症状がなく気が付きませんが、もしそのままにしておくとどんどん増え、下痢や栄養不良といった症状を示します。幼いペットなど体力のない子はそのために生命の危険が及ぶことすらあります。
おなかの虫に寄生されないためには、定期的な検査と駆虫がとても大切です。

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