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床ずれの管理 [皮膚]

動物が歳をとったり、病気になることで寝たきりの状態になると床ずれができることがあります。人の介護でも床ずれはその管理が非常に重要となりますが、介護方法の進歩に伴い、以前とは床ずれの管理方法が大きく変化してきています。
正しい床ずれの管理方法について今回は学んでいきましょう。


★床ずれとは?★

床ずれとは、体の表面の一部だけに圧力がかかり続けることで血行障害が起こり、その部分の組織が死んでしまうことをいい、医学用語では、褥創(じょくそう)といいます。
寝たきりになってしまって固い床の上に同じ姿勢で寝つづけると、骨が出っ張っている部分だけに常に圧力がかかってしまいます。そしてその部分に栄養を運んでいる血管の流れが悪くなり、結果として組織が死んで(壊死して)しまいます。これが床ずれです。皮膚が破れて、死んでしまった組織に細菌が感染してしまうと、細菌の毒素によってさらに床ずれは広がってしまいます。
皮膚が擦れることで表面から傷ができると思っている方もいらっしゃるようですが、床ずれはどちらかというと、皮膚の深い場所の組織から死んでしまうことが多いのです。そのため、気がついたときには大きな範囲で皮膚や皮下組織、筋肉がダメになってしまっていることがあります。


★床ずれのできやすい場所★

床ずれは、骨が地面に当たる場所にできやすくなります。具体的には、横向きに寝ていることの多いワンちゃんの場合、腰の左右に張り出している部分(腰角)や胸前の肩甲骨が出っ張っている部分、肘やかかとの部分が最もできやすい場所と言えます。そのほかにも、頬骨の出っ張っている部分や手首や膝など骨をさわることのできる場所、肋骨の一番膨らんでいる部分なども注意しなければいけない場所です。


★床ずれの症状★

ごく初期では、皮膚がやや赤くなっていたり薄くなっている程度ですが、そのままにしておくと皮膚が破れ、下の組織が見えるようになり、ひどくなると骨まで見えてしまうこともあります。通常は皮膚にぽっこりと穴が開いたように見えますが、皮膚の下が大きくポケット状に広がっている事もあります。表面は体液でじゅくじゅくと湿っていて、そこに細菌が感染してしまうと膿が出ていることもあります。
床ずれができるような子はもともと寝たきりで全身状態がよくないため、そこに細菌感染がおきれば、全身状態はあっという間に悪化してしまい、敗血症になることもあります。


★床ずれの管理 今までとの違い★

少し前まで、床ずれができてしまったらとにかく傷口を早く乾かしてカサブタにして治す事が大切だとされていました。しかし、最近の医学では床ずれは乾燥させてはいけないとされています。床ずれの表面を覆っている体液は傷の治りをうながすのに必要であることがわかり、傷口を乾燥させると再生しようとする細胞までもが死んでしまい、治りが悪くなるばかりか細菌感染を余計におこりやすくさせてしまうためです。
また、傷口はなるべく強力に消毒して細菌感染を防いだほうがよいと言われていましたが、あまり頻繁に消毒剤を使うとやはり細胞の再生の妨げとなるため、汚れはできるだけ洗い流すものの消毒液は最低限にしたほうが良いといわれています。


★床ずれの管理方法★

床ずれができてしまったときには、なるべく早く動物病院で診てもらうことが大切です。動物病院ではまず傷の表面の汚れをきれいに水か生理食塩水で洗い流します。周囲の毛は汚れの原因となるため、なるべくバリカンなどで刈ってしまいます。
そのあとドレッシング材と呼ばれる特殊なばんそうこうで傷口を覆い、傷を乾燥させないようにしながら肉が下から盛ってくるのを待ちますが、すっかり治るにはとても長い時間がかかります。ドレッシング材は毎日替える必要があり、治療の間は新たな床ずれができないように気をつけてあげなければなりません。
以前は床ずれをおこした場所が地面につかないように、まくら型やドーナツ型のパッドなどを使用したこともありますが、パッドが当たっている部分が新たに圧迫されて血行障害をおこす事もあるため、最近はパッドの使用には十分な注意が必要であるとされています。


★床ずれの予防法★

このように床ずれは一度できてしまうと、その管理はなかなか大変です。ですから、床ずれは治療よりも予防がとても大切です。もしペットが寝たきりになってしまったら、なるべく低反発マットなどでできた柔らかくて厚みのあるベッドを使って、体の重さを一ヶ所に集中させないようにし、一日に数回おうちの人が寝返りをうたせることで床ずれを予防しましょう。


寝たきりの子の介護は本当に大変な事です。でも、ちょっとした注意で床ずれは防ぐ事ができますし治療することもできます。楽しい時を長い間共に過ごしてきたペットだからこそ、寝たきりになってもきちんと面倒を見てあげたいですよね。

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