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飼い方

ペットの救急箱 【飼い方】

救急箱はいざという時のために、応急処置の道具や薬を一まとめにしてある箱のことです。皆さんは自分達の救急箱の他に、ペットのためにも救急箱を作ってありますか? ペットの手当に必要なものをまとめて入れておけば、何かあっても落ち着いて行動する事が出来ます。また、常に一箇所にまとめておけば、災害時などに必要なものをすぐに持ち出す事もできますよ。


★ペット専用の救急箱★

皆さんは人用の救急箱はおそらく持っているのではないでしょうか? 「ペットも人と同じ物を使うから兼用で大丈夫」と思われている方も多いと思います。でも、ペットが使った器具を人が使うのは衛生上に問題がありますし、人の薬がすべてペットにも使えるとは限りません。ペットの救急箱は別にセットしておきましょう。


★救急箱の置き場所★

医療用の薬品類は変質しやすいものが多いので、日光が直接当たらない冷暗所に置いておくようにしましょう。だからといって、押入れの奥などに入れてしまうと、いざというときにさっと取り出せません。人の救急箱と同じく、定期的に中身を点検、交換できる場所においておきましょう。そして「ペットの救急箱」と一目でわかるような何か目印を表につけておきましょう。


★応急手当の仕方★

ペットが突然怪我をしてしまった時には、痛みと恐怖でビックリしているため、非常に興奮しています。たとえ気心の知れた飼い主さんであっても近寄る事を許してくれないかもしれません。応急手当をする時にはまず、ペットを十分に落ち着かせましょう。飼い主さんも一緒になって興奮しているとその気持ちが伝わってしまいますから、まず飼い主さんが落ち着くところから始めましょう。低いゆっくりとした声をかけながら、少しずつペットに近づき、横に寄り添うようにしてそっと体を触ります。そのときに頭の上からや正面からいきなり手を出すと怖がるので、顎の下や背中にさわるようにしましょう。体を触らせてくれるようになったら、少しずつ体をしっかりと抱きかかえるようにして、手当てを開始します。出来れば二人一組で一人が体を押さえて、もう一人が処置を行うようにするとよいでしょう。
しかし、一度は落ち着いても痛い患部を触ると再び興奮する事もあるため、くれぐれも無理はせず、出来る範囲で行うようにしましょう。


★救急箱の中身★

【器具編】
さまざまな医療用器具類は常に清潔にしておきましょう。また、いつでも使えるように時々点検して、電池の残量などを確認しておきましょう。

・ハサミ:怪我をした場所の毛を切ったり、包帯やテープを切ったりするのに使います。特に医療用でなくても大丈夫ですが、毛を切る時にはなるべく先端が細くて刃が薄いものが使いやすいでしょう。くれぐれも動いた拍子に皮膚を切ってしまったり、先端を刺してしまわないように気をつけましょう。

・ピンセットもしくは毛抜き:肉球に刺さったとげを抜いたり、傷の中のゴミを取除いたりするのに使います。先端が細いほうが使いやすいのですが、同様に皮膚を傷つけないように気をつけましょう。

・小型の鉗子(かんし):鉗子は本来手術などに使用する医療器具ですが、大きなペットショップなどでも手に入れる事が出来ます。上記のピンセットの代わりに用いたりする事も出来ますし、耳の中が蒸れて外耳炎になりやすい子は耳の毛を抜いたり、耳の中を綿球でぬぐったりするのに便利です。

・スポイトもしくは小型のシリンジ(注射筒):小さな傷口や目を洗い流す時や、シロップの薬を飲ませたりする時に使います。

・先の尖ったペンチ:針金が巻きついてしまったときや、釣り針が刺さってしまった時に使います。釣り針はたいてい「かえし」がついているため、そのまま抜こうとしても傷口を大きくしてしまいます。かえしの部分をペンチで切断してから、回すように抜きましょう。

・ペット用体温計:通常ペットの体温は肛門で測ります。最近は耳内の赤外線量を感知するペット用体温計もあり、こちらのほうが短時間で計測する事が出来ます。

・小型の懐中電灯:口の中や耳の中をのぞくときに使います。また、毛に隠れた傷の様子を見るときなどにも便利です。また、片眼に光を当てた時に瞳孔が小さく縮まなければ(黒目が小さくなる、ネコちゃんの場合は黒目が細くなる)、そちら側の目は光を感じていないことを意味しています。

【ペットの保定用具編】
興奮したペットを触るときに必要な用具も一緒にそろえておきましょう。

・軍手もしくは皮手袋:ペットが痛みで興奮している時にはたとえ飼い主であっても噛み付いたり引っ掻いたりすることがあります。用心のために用意しておきましょう。
・使い捨てのビニール手袋:もし飼い主さんが手に怪我をしているような時にペットの血液や膿などに直接触れると二次感染をおこすことがあります。これらの事故を防ぐために薄手のゴム手袋もしくはビニール手袋を用意しておきましょう。

・洗濯ネット:特にネコちゃんの場合、痛みから暴れる事によって状態を悪化させてしまう事もあるため、なるべく速やかに体を拘束する必要があります。ただ抱っこしただけではすぐに逃げてしまうため、洗濯ネットに全身を入れてしまい、患部のみを外に出した状態でファスナーを閉めてしまえば、爪や牙からの攻撃を防ぐ事が出来ます。

・バスタオル:ペットの全身を覆うバスタオルや毛布があれば、ペットからの攻撃の大部分を防ぐ事が出来るばかりでなく、ペットを保温することにも使う事が出来ます。また、もしペットがぐったりとしている時や自力で歩けない時には担架の代わりとして使う事も可能です。

【衛生用品編】
使い捨ての衛生用品は人のものと兼用する事ができます。人のものを一部ペット用の救急箱に移しておきましょう。

・包帯:ペットの場合、人と同じように包帯をしてもあっという間に取られてしまいます。包帯は一時的に止血ガーゼを押さえたり、傷口が汚れないようにするためのものとして使用します。粘着タイプの伸縮包帯があれば、そちらのほうが取られにくいでしょう。

・綿棒:耳の中や歯茎など、指の届かない場所に薬を塗ったり、耳掃除をするときに使います。耳の中で使うときにはくれぐれも汚れを奥に押し込まないように、見える範囲のみで使用するようにしましょう。

・ばんそうこう:ペットは全身を毛で覆われているため、ばんそうこうはなかなかくっつきません。特に人で普段使っているガーゼ付きのばんそうこうはほとんど役に立ちません。テープ型のものを用意しておき、止血ガーゼを押さえたり包帯を留めたりするのに使いましょう。ほとんどの場合、ペットが自分ではがしてしまうため一時的なものですが、逆に一度しっかりとくっついたものは今度ははがすのがとても大変です。ペットの皮膚はばんそうこかぶれをおこしやすいため、何日もつけっぱなしにしないように注意しましょう。

・滅菌ガーゼ:傷口が汚れないように覆ったり、止血する時に用います。出血を止めるときには傷口に厚めに重ねて押さえ、出血するまで強めに押さえつづけます。もし、ガーゼの表面まで血がにじんできてしまった場合には、ガーゼは取り替えずにその上にさらに新しい滅菌ガーゼを当てて、血が止まるまで押さえます。決して血を何度も拭き取ったりしてはいけません。滅菌ガーゼは薬局で手に入れる事が出来ます。

・脱脂綿:消毒薬を染み込ませて傷口を拭き取ったり、耳の中の汚れをぬぐったりする時に使います。

・清潔なハンドタオル:小型のタオルはガーゼの代わりになったり、包帯の代わりになったりといろいろな事に使えます。

・冷却パックおよび使い捨てカイロ:冷却パックはやけどのときや熱射病の時に使います。また使い捨てカイロは、寒い時ばかりでなくショックを起こして末端の血流が悪くなってしまった時にも使います。

【医薬品編】
ペットに処方された薬はここにしまっておくようにすると、人のものと混同せずにすみます。また、外用薬でも人に使われる薬のなかにはペットに使えるものと使ってはいけないものがあります。普段から獣医さんに聞いておいて、何なら使ってよいのかをよく聞いておきましょう。

・低刺激性の消毒薬:ペットに使う医薬品はなるべく刺激の少ないものを選びましょう。傷口にしみるものは、そのあとの治療をさせてくれなくなってしまうこともあります。また猫の場合、ヨード系の消毒薬の中には舐めると中毒を起こすものもあるので要注意です。

・精製水もしくは生理食塩水:傷口をきれいにする場合には、まず精製水か生理食塩水で洗い流すようにしましょう。傷口が化膿しないように消毒薬を使う場合も、そのまえに膿や汚れをしっかりと洗い流しておかないと消毒の効果は薄れてしまいます。また、目ヤニを拭き取る場合にも、生理食塩水を含ませた脱脂綿でふやかすようにしてそっと取除くと目の周りを傷つける事がありません。

・人用の薬は? :残念ながら、人の市販薬の頭痛薬や風邪薬、下痢止めなどのほとんどの飲み薬はペットに使うことが出来ません。特に人では一般的な解熱鎮痛薬は猫にとって非常に毒性が高いため、絶対に飲ませてはいけません。たとえ子供用であっても、です。外用薬ならペットに使っても大丈夫と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ペットは外用薬を舐めて口にしてしまいます。口にする事によって副作用が出るばかりでなく、軟膏がついている事によってよけいに気にして傷を舐め壊してしまったりすることもあるため、人の痒み止めや消炎剤の外用薬は使わないようにしましょう。薬品類で救急箱に入れておくのは、動物病院で処方された薬のみにしましょう。


もしも、可愛いペットが怪我をして体のどこからか血が出ていたら、冷静に対処できますか?  いきなりのことだったらびっくりしてあたふたしてしまうのではないでしょうか。そんなときに少しでも的確に処置を行うために日頃から救急箱を備えておく事がとても大切なのです。

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