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予防医学

心電図でわかること [予防医学]

心電図というものをご存知でしょうか? 体の数箇所に電極を取り付けて心臓の動きを調べるための医療機器です。心電図は上下に蛇行した連続した線として表されますが、この線で一体何がわかるのでしょうか?


☆心臓の仕組みと心電図☆

心臓は血液を全身に送り出す、いわゆるポンプです。心筋と呼ばれる特殊な筋肉で出来ており、肺で酸素を取り入れた血液を過不足なく送り出すために一定のリズムで休むことなく動いています。この動きは心臓の一部、右上の「洞房結節(とうほうけっせつ)」と呼ばれる場所から左下に向かって一定のリズムで電気信号が発せられることによって作られています。つまり、心臓は自らが作り出した電気の刺激によって筋肉が順番に縮んだり緩んだりを繰り返して効率よく働いているのです。この電気の流れを体の表面につけた電極でキャッチしてグラフにしたものが心電図です。心電図の線の上下は電気がどの方向に流れているのかを示し、波形の振り幅は電気の強さを示しています。
よく、心臓に電気を流す検査と思っている方もいらっしゃるようですが、体内の電気を感知するだけですので、ペットがしびれたりするということはありません。
ちなみに心臓に何らかの障害があってこの電気信号がうまく心臓全体に伝わらない時に、人工的に電気信号を出して規則正しいリズムを作る医療機器がペースメーカーです。


☆心電図をとるときには☆

通常、ペットの心電図をとる場合、前足と左後足の4本の足に電極を取り付けます。電極はクリップのような形のもの、吸盤のようになっているものなどがありますが、どれもペットに苦痛を与えないように工夫がされており、電気が流れやすいように電極をつける皮膚には専用のゼリーを塗ります。
心電図の波形はペットが動いてしまうとすぐに歪んでしまうため、検査の間はペットにはじっとしていてもらわなくてはなりません。もし我慢が出来なくて、動き回ってしまう子の場合は、少しの間横に寝た形で押さえられることもあります。押さえられても興奮して鳴いてたり、呼吸が荒くなってしまう子の場合は正しい心電図をとることができないこともあります。


☆どんな時に心電図をとるのか☆

聴診やレントゲンなどで心臓になんらかの病気が疑われるとき、また、普段の仕草の中で、ちょっとした運動ですぐにハアハアしてしまったり、舌が紫色になっていたり、痰が絡んでいるような苦しそうな咳をするなどの症状がみられることから、心臓がうまく機能していないかもしれないと疑われるときに心電図がとられます。
また、手術時に麻酔をかけたときや、危篤で入院している時に、ペットの状態をモニターするためにも心電図をチェックする場合があります。


☆心電図で分かること☆

健康な時の心電図は決まった波型が一定のリズムで描かれますが、たとえばこれが一定のリズムではなくなった場合、不整脈が存在する事がわかります。また、一定のリズムでも早すぎたり遅すぎたりといった異常が見られるときもあります。
心電図の波形に異常がみられたときには、心臓の大きさや機能に問題がある場合があります。たとえば、弁膜症で心臓が肥大した場合や、生まれつき心臓の形に異常がある場合は、心臓の壁を伝っていく電気はそれだけ大回りしたり、異常な方向に流れたりする事になるため、波形が大きく変化します。また心筋梗塞などで心筋の一部がダメになってしまった場合、そこは電気が流れなくなってしまうため、同様に波形は変化します。
獣医さんはこれらのリズムや波形の変化を読み取って、心臓病の原因を推測するのです。


☆心電図に異常が見られる病気になったら☆

心電図の異常はとても分かりにくい事もあるため、超音波検査やレントゲン検査、血液検査などを組み合わせて、どのような病気がどの程度進行しているのかを推測していきます。
心臓病と言うと、不治の病という印象がありますが、確かに原因を直すことは無理でも今の症状を軽くする事の出来るお薬もたくさんあるため、悲観する事はありません。
お薬を忘れずに飲みながら、心臓に負担をかけない生活を心がけ、定期的に健診を行う事が大切です。
心臓に負担をかけない生活とは具体的に、興奮をさせない(来客を控えたり激しい遊びをしない)、温度差を少なくする(外が寒ければ散歩の時に服を着せる)、運動量を控える(お散歩の距離を短くする)、太らせないなどです。


☆おわりに☆

最近はペットの高齢化とともに心臓病も増えてきました。特に小型犬の多くは歳をとると「僧帽弁閉鎖不全症」と呼ばれる弁膜症を発症してきます。飼い主の方も心電図検査を見る機会が増えてくるのではないでしょうか。
心電図は少しの間静かにしていてもらう必要はありますが、体に負担の少ない検査です。ペットの心臓病が増えてきた今、定期健康診断の中に心電図を加えてみてはいかがでしょうか。

キーワード

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