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筋骨格系

ペットの骨折 [筋骨格系]

ペットも人と同じようにいろいろな場所の骨が折れてしまうことがあります。骨のつくりや直し方は人とほとんど変わりませんが、もし、ペットが骨折をしてしまったら、まずどうしたらいいのでしょうか? そして、そのあと獣医さんはどのように直していくのでしょうか。
今回はいざという時のために骨折の基礎知識を学んでいきましょう。



☆どんな時に骨折してしまうの?☆

骨折の原因のほとんどはやはり骨に大きな力が加わることですが、その中でもペットに一番多いのは交通事故で、特に外を自由に歩いているネコちゃんに多く見られ、骨盤や大腿骨などが折れることが多いようです。そのほかにベランダなどの高所からの落下、ドアなどに強く挟まれる事故などがあります。また、小型犬の場合、ソファやテーブルから飛び降りた時に足を滑らせて前足を骨折してしまう事もあります。
あと、骨腫瘍やクル病などでもともと骨の強度が弱くなっている場合には、強い力を加えなくても折れてしまう場合があります。


☆骨折してしまった場合の応急手当☆

もしペットが目の前で骨折をしてしまっても、絶対に骨を動かして勝手に直そうとしてはいけません。余計に周りの組織や神経を傷つけてしまう場合があります。骨折した部分がぶらぶらしないようにダンボールなどを副木として骨折部位に当てて、包帯か布を巻いて動かないように固定して、なるべく早く動物病院に連れて行きます。もし、とても痛がったり、副木を当てられない場所の場合は無理に固定する必要はありません。毛布などを担架がわりにして、なるべく全身を動かさないようにしましょう。
「解放骨折」といって、傷口から折れた骨が見えてしまっている場合は、そこから細菌感染をおこしやすくなります。傷口全体を汚れないように滅菌ガーゼなどで覆い、出来れば生理食塩水などで乾燥しないようにして、その部位を動かさないように注意しながら動物病院に連れて行きましょう。


☆骨折をそのままにしておくと☆

骨折した部位と規模によっては、そのまま安静にしていれば元通りにくっつく場合もあります。しかし、多くの場合ペットは自発的に安静にしていてくれないので、足などのよく使う骨はくっつかないでぶらぶらしたままだったり、歪んだ形でくっついてしまいます。また、脊椎などや骨盤の骨折の場合には歪んだ骨が周囲の神経を傷つけ、痛みや麻痺が出ることもあります。

☆病院での骨折の治療☆

病院では骨折した部位、程度、ペットの状態(年齢や性格)などに応じて、さまざまな方法で治療を行っていきます。

【治療法その1 外から固定する】
折れた骨があまりずれていない場合、ギプスや副木(スプリント)などで外から固定して、折れた部分同士をずれないようにして再びくっつのを待ちます。皮膚を切開するような手術をしなくてもいいかわりに、ペットが安静にしていないとなかなか骨がくっつかない、曲がってくっついてしまうというデメリットもあります。

【治療法その2 骨同士を直接固定する】
手術によって骨折している部位を開き、金属の用具を使って骨同士をつなげる方法です。プレートといって、金属の板をねじで骨に留める方法や、骨の中にピンと呼ばれる金属の棒を入れる方法、針金(ワイヤー)で骨と骨を寄せる方法などがあります。しっかりとくっつく代わりに、皮膚や筋肉を大きく切開するすることが必要です。

【治療法その3 創外固定(そうがいこてい)】
上記2通りの治療法の丁度中間のような治療法で、皮膚ごしに骨折した骨に金属のピンを数箇所刺して体外でそれらをまとめて支持する方法です。骨が何箇所も折れてしまった場合などに用いることが多く、見た目は金属が何箇所も皮膚に刺さっているので痛そうに見えますが、実際にはそんなことはありません。


折れてしまった骨同士が元通りにくっつくには数ヶ月が必要です。その間、最も大切な事は骨折部位をなるべく動かさない事です。ペットは自分で「折れた足をつかわないようにしよう」とか「安静にしていよう」とか思わないので、痛みが取れてしまえばすぐに歩こうとしてしまいます。もしおうちでゲージの中でじっとしていられない子は長期入院も覚悟しなくてはいけません。入院中も面会の度に嬉しくてケージの中で暴れてしまうようであれば、面会も控えなくてはなりません。

そして、骨がしっかりとくっついたら、今度はリハビリです。弱ってしまった筋肉を回復し、関節をスムーズに動かせるようにするために、マッサージやストレッチ、水泳などを行って機能回復を図ります。

このように、骨折は一度起こってしまったらとても大変な病気です。骨折をおこさないように、普段から自由にお散歩させない、人の目の届かないところに行かせない、ソファなど高いところには乗せない、といったことに気を使い、危険を回避するようにしましょう。

キーワード

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