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栄養学

食べて治すペットの病気 「ペットの処方食」 【栄養学】

毎日の食事で何を食べているかが日々の健康にとても重要であることは、人もペットも同じです。特にペットの場合は、人のように外食をしたり好きなものを買って食べることができないわけですから、飼い主さんがどんな物を食べさせるかによって100%栄養状態が決定されてしまいます。
皆さんは、ペットに最適なごはんを食べさせていますか?



★食餌の大切さ★

食べ物の栄養は体内に入ると、大きく「体を作る材料」「体を動かすエネルギー」「体内の働きを調節する補助」の3つの働きに分かれます。ですから、もし全体的に栄養が不足していたら痩せてしまうし、衰弱もしてしまいます。また、栄養がどれかに偏ってしまったら、体内の働きがうまく調整できず、さまざまな病気を引き起こしてしまう可能性が高くなります。
いくら体を作る材料がたくさんあったとしても、それを上手に組み立てることができなければ健康な体を作ることはできません。栄養状態の良し悪しとは、お腹いっぱい食べたかどうかではなく、どんなバランスで栄養を摂取したかの問題なのです。
たとえば、ネコちゃんがカツオやマグロなど青魚のお刺身ばかりを食べ続けると、ビタミンEが不足してしまい、いずれ「黄色脂肪症」という全身に痛みが生じる病気になってしまいます。その他にも、栄養バランスの崩れはビタミンの欠乏症や過剰症、骨の成長不全など様々な病気を引き起こします。


★栄養バランスの崩れが原因となる病気★

栄養のバランスが崩れることが主な原因となる病気には、次のようなものがあります

・クル病:成長期に骨を作る栄養(カルシウム、リン、ビタミンD)のバランスが悪いと起きる病気で、骨の変形や強度不足を引き起こします。

・チアミン(ビタミンB1)欠乏症:ネコちゃんがイカや甲殻類などを生食しすぎると、チアミンが破壊され、食欲不振や神経症状などが見られます。

・ビタミンA欠乏症:ワンちゃんはニンジンなどに含まれるカロチンからビタミンAを作ることができますが、ネコちゃんにはそれができません。ですから、偏った食事によってビタミンAが欠乏するとフケ症になったり夜盲症(夜になると視力が著しく衰え、目がよく見えなくなる病気)になったりしてしまいます。

・ビタミンA過剰症:成長期のネコちゃんにビタミンAが豊富に含まれた生の肝臓や魚ばかり食べさせていると、ビタミンAが過剰となりすぎることがあります。そうすると、骨同士が異常にくっついたり、変形してしまいます。

・猫のタウリン欠乏症:タウリンというアミノ酸は、ワンちゃんは自分で作ることができますが、ネコちゃんは食餌で摂らなければなりません。ですから、ドッグフードを食べているネコちゃんはタウリン欠乏症という、失明や心筋症を引き起こす病気になってしまうことがあります。

・ビオチン(ビタミンH)欠乏症:卵の白身にはビオチンを分解する酵素が含まれているため、生卵の白身ばかり与えているとフケや脱毛などの皮膚症状や麻痺などの神経症状を引き起こすことがあります。


★食餌療法が大切となる病気★

ペットが病気になってしまった場合、治療やコントロールのために薬よりも栄養管理が非常に大切になることがあります。それぞれの病気にあわせて栄養成分をコントロールすることで症状を抑えたり、進行を遅らせることもできるのです。
では、どのような病気にどのような食餌管理が必要なのかを見ていくことにしましょう。

肥満
肥満は立派な病気です。そのままにしておくと、関節や心臓に負担をかけるばかりでなく、糖尿病や脂肪肝など他の病気の原因にもなってしまいます。低カロリー(低脂肪)の食餌にすることが食餌管理の基本になりますが、肥満になってしまった原因のほとんどは飼い主さんが食餌を与えすぎてしまったことです。
繊維質などエネルギーにならないものでかさを増やし、量は維持してペットの食べたい気持ちを満足させるのも大切なことです。

糖尿病
糖尿病は血液中の糖を体の中に取り込む働きをもつホルモン“インシュリン”が欠乏してしまう病気です。糖尿病になってしまったら、食餌をした後、急激に血糖値が上昇しないように、ゆっくりと吸収されるような炭水化物を含んでいるフードにする必要があります。肥満が原因で糖尿病になったのであれば、ゆっくりとカロリー制限をして体重を減らしていくことも必要になります。

慢性腎不全
高齢の猫のほとんどは慢性腎不全であるといってもいいくらいです。腎臓はもともと体の老廃物を漉しとって、おしっことして排泄させるための臓器ですが、腎臓の働きが悪くなることで、体内に老廃物が溜まり尿毒症を引き起こしてしまいます。そこで、慢性腎不全の時にはなるべく老廃物が出ないような食餌にする必要があります。具体的には高品質のたん白質にしたり、食餌中のリンを減らしたり、便から老廃物が排泄されるように食物繊維を増やしたりすることによって、腎不全の進行を遅らせることができます。

尿路結石
尿路結石と一口で言っても、実は体内で作られる“石”には様々な種類があって、それぞれ成分が異なります。最も一般な“ストルバイト”という結石は、マグネシウム、アンモニウム、リン酸から作られており、アルカリ性の尿の中で作られます。この石は尿を酸性にすると溶けるため、栄養管理としては酸性の尿になるような食餌内容にします。さらに石の成分であるマグネシウム、リン、たん白質の摂取量を減らして、なるべくたくさんおしっこがでるようにして石が小さなうちに洗い流すようにします。石ができてしまうのは体質によるものが多く、薬では一生飲みつづけなければならなくなってしまうため、なるべく食餌で石ができにくい体内環境を作り、再発しないようにするのです。
             
心不全
人でも「高血圧の人は塩分を控えましょう」とよく言われると思いますが、これはペットにも当てはまります。歳をとって心臓の働きが弱くなってしまったペットも、塩分(ナトリウム)を制限した食餌にした方が心臓の負担を軽くすることができます。また、もし肥満であれば、少しずつダイエットをすることで同じく心臓の負担を軽くすることができます。

食餌性アレルギー
食餌性アレルギーは食べ物の中のたん白質がアレルゲンとなって、アレルギー反応が引き起こされるものです。体に痒みが出たり、お腹を壊したりといった症状が見られます。原因となる食べ物としては鶏肉、牛肉、卵、小麦、大豆、トウモロコシなどがあります。原因となるものを食べなければアレルギーは起きませんが、アレルギーの原因が複数であるケースもあるため、原因の食べ物を特定することは非常に困難です。かといって、たん白質を全く取らないわけにはいきません。そんなときには、今まで全く食べたことのないような食材(ナマズ、カモ、ポテトなど)を使ったアレルギー用のフードに切り替えて様子をみることもあります。

消化器疾患(胃炎・胃酸過多・膵炎・腸炎・便秘)
消化管は食餌と最も直接かかわる臓器ですから、もし胃、腸、消化酵素を出す膵臓などに問題がある場合にはまず食餌管理を徹底することが大切になります。
いわゆる「お腹を壊している」場合には、低脂肪で消化吸収の良いフードを少量ずつ何回も与えるようにして、胃や腸に負担をかけないようにします。下痢などによって腸内細菌が減少してしまったときには、腸内細菌の栄養源となるオリゴ糖や発酵性線維を含むものにすることもあります。
逆に便秘の時には、食物繊維を多くして便のかさを増やしてスムーズに出るようにします。
 
腫瘍
腫瘍細胞は炭水化物をエネルギーとして増殖し、脂質はエネルギーとしてあまり使用しないと言われています。ですから、もし腫瘍ができてしまった時には、高脂肪・高たん白・低炭水化物のフードを与えるようにします。ただし、腫瘍にエネルギーをとられてしまい、食べているのにどんどん痩せていってしまうような時には、まず食欲を維持することが大切です。食べやすく消化の良い食餌を数回に分けて与えるようにします。

痴呆
高齢の犬でも人と同じような「痴呆」が見られることがあります。意味もなくぐるぐると歩き回り、ご飯を際限なく食べ、お腹を壊すわけでもないのにどんどん痩せていってしまうときには要注意です。犬の場合、明らかに不飽和脂肪酸の一種EPA,DHAが減少しているので、これらを添加したフードもしくはサプリメントを与えるのがとても有効だと言われています。また、衰えた消化機能でも十分に吸収できるように、高品質のたん白質や消化しやすい炭水化物などがバランス良く含まれていることも大切です。

肝疾患
肝臓は消化、栄養の貯蔵や解毒などの働きをしています。ですから、もし肝臓の機能が低下してしまったら、なるべく消化が良くて毒物となるものが含まれていない食事を与える必要があります。具体的には、消化の良い高品質のたん白質を含んでいること、高エネルギーであること、また、銅やナトリウムなど蓄積すると害となる物質を含まずタウリンや亜鉛、カリウムなど不足しがちな物質を増強した食餌が望まれます。


★補助食品とサプリメント★

もし、今ペットに足りないものが何かはっきりとわかっていて、動物病院の先生などの専門家がオススメしてくれるのであれば、補助食品やサプリメントを使って、今の食餌をサポートし、症状に対処するのも良いでしょう。しかし、たとえば「○○という栄養は体に良い!」と聞くとすぐに飛びついてそればかり食べさせる、というのは考え物です。栄養はあくまでバランスの中で成り立っています。大切なのはバランスの取れた食餌を過不足なく食べさせるということです。補助食品はあくまでも通常の食餌の「補助」であることを忘れないでください。


★一番大切なのは・・・★

最近はペットショップでも年代別、犬種別、ライフスタイル別など様々なペットフードが並んでいます。また、動物病院には病気ごとの処方食が用意されています。ペットの栄養学は急速に進歩していて、私たち飼い主はその場その場で「うちの子に最適なフード」を選ぶことができます。
でも、どんなに優れたフードでも、ペットが食べてくれなければ結局意味がありませんよね。フードは食べてはじめて栄養になるのですから・・・。
まずは普段から偏食させず、食べ物の好き嫌いがあまりない子に育てることが、いざ病気になったときに大切なこと

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