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しつけ・行動・マナー

分離不安 【しつけ・行動・マナー】

飼い主さんが一緒にいる時には全く問題がないのに独りになると不安を感じてパニックのために吠える、物を破壊するなどの問題行動を起こしてしまう。このような症状を獣医学領域では「分離不安症」と呼びます。


★分離不安とは何ですか?★

分離不安とは何ですか?  近年、飼い主さんのペットに対する意識向上と共に“家族”として屋内で飼育される犬や猫が増えてきました。家族の愛情に包まれて生活することはペットにとって幸せである一方、独りになる時間が少ないペットは、留守番をしなければならなくなった時に先述のような問題を起こすことがあります。

本来、犬は社会性の強い動物であり、特に母犬や他の犬達と一緒に過ごしてきた犬達は、ひとりきりで留守番することに慣れていないため、留守番中に不安が強くなります。飼い主さんが一緒にいる時には全く問題がないにも関わらず独りになると不安を感じ先述のような行動をとることを獣医学領域では「分離不安症」と呼びます。分離不安は犬の問題行動における最も一般的な原因の一つです。

同じような問題は人間の乳児でもみられます。親が自分から離れるともう戻ってこないのではないかと不安を感じ、単にとなりの部屋に行っただけでもパニックを起こして泣きます。


★どんな犬に起こりやすいのか?★
 
早期に離乳することや単独飼育は分離不安のリスク要因ではなく、飼主さんの過接触あるいは過剰な愛情こそが分離不安症と関連があります。また飼い主さんと毎日1対1で密着した生活を送っている犬は、複数の家族がいる飼育犬よりも約2.5倍分離不安症になりやすいと言われています。社会性動物として、子犬が母犬や兄弟への愛着を形成することは正常なことです。その後、子犬が家族といったん切り離されると、通常は人間との新しい生活を構築します。

しかし、飼い主さんにひどく依存する傾向がある犬では分離不安になることがあります。若い頃のトラウマ的な出来事を経験した犬も分離不安となる可能性が高いと言われています。これらの出来事は愛情の喪失(ペットショップに長い間いることやアニマルシェルターでの長い生活)、突然の環境変化(新居への移転)、飼い主のライフスタイルの突然の変化、家族メンバーとの長期的あるいは一生の別れ(離婚、死別)、新しいメンバーの追加(子供、ペット)などもリスク要因と言われています。


★分離不安になるとどんな症状がでるのか?★
 
飼い主さんがいる時は穏やかでも、いったん飼主さんが外出して犬だけで留守番をさせた場合に犬が過度の不安を感じ問題行動を起こすことが大きな症状として挙げられます。飼い主さんが外出の準備を始めた段階からドキドキしたり落ち着かず、後をつきまとうなどの分離不安の“前兆”が始まり、“破壊行動”などは通常外出後数分で始まります。タフツ大学獣医学部の行動薬理学教授のニコラス・ドッドマンは最初の30分が最も重要であると言います。

また、トイレ以外の不適切な場所(リビングやベットなど)での排便や排尿や過剰に吠えることも症状として挙げられます。

犬は快適と感じている状況でもグルーミングをしますが、分離不安の稀なサインとして自分の足を皮膚が赤くなる程ペロペロ舐めて肢端舐性皮膚炎を起こすこともあります。不安という“ストレス”が原因の皮膚炎は通常大型犬に見られ強迫神経症の一形態と考えられています。長時間独りにされたり制限された状況や緊張が多い環境に置かれつづけることによって引き起こされる欲求不満や不安の“SOS”なのかもしれません。

猫でも分離不安症候群を起こしうると考えられていますが、犬と違って最も多いサインは不適切な場所での排尿と言れています。この場合ほとんどが飼い主さんのベッドにしますが決して飼い主さんへの“報復”ではありません。


★自分の犬が分離不安であるか知る方法とは?★
 
以下の全てあるいはほとんど当てはまる場合は分離不安症の可能性が高いと言えます。

・独りになった時に問題行動が強く現れる。
・あなたが家にいると後ろを付きまとわれる。
・帰宅した時に大袈裟に感情を表現する。
・犬が独りになると飼い主さんの留守の時間に関わらず必ず症状が出る。
・あなたが外出する準備を始めると興奮し、不安になり、落ち込む。
・犬が独りで野外で過ごすことが好きではない。



★分離不安症の一歩手前の症状とは?★

潜在的な分離不安、つまりサッカーで例えると「イエローカード」となる症状は以下です。

1.飼い主さんにつきまとい、何とか関心をひこうとします。
2.飼い主さんが出かける準備を始めると、不安状態を示します。
3.飼い主さんの帰宅時に、過剰に喜んで出迎えます。



★分離不安の犬に対する対策とは?★
 
最も効果的なアプローチは行動療法と薬物療法の組み合わせと言われています。

行動療法は飼い主さんの外出や帰宅時における犬のパニックレベルを減少させることにピントを合わせます。外出前に犬を興奮させたり、「いい子で待っててね」などの声をかけて外出することは精神的な落胆が大きく不安感を助長させます。従って外出前約30分はあまり犬を興奮させるような遊びをしないようにします。

帰宅後も犬が大喜びで尻尾をブルンブルンまわして興奮しているあいだはいっさい関心を向けないようにします。「いい子にしてたのね、ごめんね」などと声をかけ頭を撫でることも避けたほうが無難です。視線も合わせず無視することが効果的といわれていますが、愛犬家にとっては非常に辛い時間となります。

また、帰宅後に破壊行動や不適切な排泄を叱り付けてはいけません。犬は数秒以上経過した過去の過ちを怒られても理由を理解することは不可能で、犬の不安感を高めることになります。

分離不安を伴う犬に最も効果的な対処法は非常に短い期間から“ホームアローン”に慣れさせることです。同時に、“ホームアローン”が楽しいことだと犬に関連付けなければなりません。

例えば出掛ける前におやつをいくつかの場所において、犬にわからないように裏のドアからこっそりとでかけることはナイスアイデアでしょう。また外出時と帰宅時に控えめに行動することは効果的です。 例えば、帰宅したらはじめの数分は犬を無視してください。これは非常に辛いことかもしれませんがとても重要なことです。

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