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皮膚

犬が体を痒がります[皮膚]

後ろ足でカリカリカリカリカリ・・・・ってちょっと多くない?気がついたらボツボツや脱毛まで。。そんな経験はありませんか?どうしてそんなに痒がるのでしょう?意外と多い犬の皮膚病、痒がる皮膚病の原因から治療までを今回はお話したいと思います。

★痒がる=アレルギー?★

最近は飼い主さんも知識が豊富でいらっしゃるので、愛犬が痒がっていると「皮膚病かな?」「アレルギーかな?」とピンとくる方も多いと思います。

しかし、皮膚病の診断は時に時間もかかり、痒がる皮膚病はアレルギー以外にいくつもあるのです。

★痒がる皮膚病の種類★

では、まず犬が痒がる病気をざっとあげてみましょう。

【1.感染症】

・膿皮症
細菌の感染によって起きる皮膚病です。痒がる皮膚病の代表的な1つです。他の皮膚病に合併して症状を複雑化することが多いです。

・マラセチア皮膚炎
マラセチアという酵母によって引きおこされる感染症です。脂っぽい体質の犬に多い傾向があります。アトピーなどで皮脂の分泌が亢進することで増殖しやすくなり、症状を複雑化します。

・疥癬
疥癬というダニの感染症です。ダニは皮膚にもぐりこみ、その糞などに対するアレルギー反応として激しい痒みが発生すると考えられています。皮膚にもぐりこむので皮膚検査で発見しにくいです。

・ニキビダニ症
ニキビダニという毛包に住むダニによって引きおこされる皮膚病です。細菌感染が合併して症状をひどくすることが多いです。ほとんど全ての犬がニキビダニを持っているのに、特定の犬にだけ激しい皮膚病を引きおこすことが知られています。その原因としては遺伝的体質や高齢犬の内分泌疾患による皮膚のバリア機能の低下などが挙げられます。

・真菌症
「カビ」=皮膚糸状菌によって起きる感染症です。犬ではそんなに多くありません。ウッド灯検査や脱毛を顕微鏡で見る検査、培養検査などによって診断されます。

・ノミ・マダニの感染
ノミやマダニの感染症です。特にノミの感染は激しく痒がります。春から秋に草むらなどで感染します。

【2.アレルギー】

・ノミアレルギー
ノミに刺されることでノミの唾液に対して激しいアレルギーを起こすようになってしまう症状です。ノミアレルギーの犬は1匹に吸血されるだけでも激しい症状を発症し、痒がります。

・アトピー
いろんなものにアレルギー反応を起こしやすい遺伝的体質と解釈されています。

・食餌性アレルギー
特定の食餌性アレルゲンに反応して痒みを出す皮膚病です。(牛肉を食べると痒がる、鶏肉を食べると痒がる、など。)

その他

・角化症
上皮の形成が亢進する病態です。脂っぽくなる脂漏症や乾燥肌のどちらか、もしくはその両方に陥ります。細菌やマラセチアの感染症としばしば合併します。他の治療法にシャンプー療法を併用してコントロールすることが多いです。

・内分泌疾患(膿皮症と合併することが多いので痒くなることもある)
高齢犬に多いホルモン疾患です。副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症、性ホルモン疾患などがあります。

・一部の腫瘍
上皮向性リンパ腫という腫瘍はとても痒がります。またその他にも腫瘍そのもの、もしくは腫瘍に感染症が合併して痒がることがあります。

上記のような病名は、1つの疾患名に当てはまることもあれば複数が合併していることもあります。(ノミアレルギーと細菌感染。内分泌疾患と細菌感染。アトピーとマラセチア皮膚炎など。)

★どうやって診断するの?★

皮膚病の診断にはまず皮膚表面の検査が必要になります。

セロハンテープで表面の細菌や細胞を取ったり、毛を抜いたり、フケをかき集めるなどして顕微鏡で見て検査します。真菌の感染が疑われるケースではウッド灯検査(特殊な光を当てて真菌かどうか診断する)や培養検査などを行うこともあります。

さらに、上記以外の検査としてアレルギー検査、内臓系の検査(まれですが内臓の疾患で皮膚病を起こすこともあります)、内分泌系の検査などをおこなうこともあります。

さらに特殊な検査として局所麻酔で皮膚を一部取って行う検査もあります。これは腫瘍が疑われるときは積極的に行われます。

痒がる皮膚病といってもたくさんの原因がありますよね。いろいろな検査を紹介しましたが、いつも全て行うわけではなく、病態とそれまでの検査結果や治療の反応などを見ながら診断を進めていきます。

皮膚病は体質が大元になることが多く、長く付き合うことになるケースが多いので、飼い主さんが上手に皮膚病を勉強して、痒みもストレスも少ない生活を目指してあげましょう!