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皮膚

痒い、痒い、ミミダニ感染症[皮膚]

後足で耳の後ろをひっきりなしに掻く。頭をぶんぶん振る。地面に耳を擦り付ける…
痒がるペットを見るのはとても辛いものですよね。耳を激しく痒がる原因のひとつにミミダニがあります。今回はペットの耳の中に住み着いて、堪えがたい痒みを引き起こすダニのお話です。


★ミミダニとは★

ミミダニは耳疥癬(みみかいせん)などと呼ばれることもありますが、正式にはミミヒゼンダニと呼ばれる小さなダニのことをいいます。猫や犬をはじめ肉食獣の動物の耳の中だけに生息しています。

成虫の大きさは0.2〜0.3ミリほどです。肉眼ではぎりぎり見えるくらいの小ささです。生涯を耳の中で生活して、はがれた皮膚や耳アカなどを食べています。数週間で成虫となりたくさんの卵を産卵し、増殖します。卵の状態で生活環境のあちこちに撒き散らされ、他のペットに感染すると言われています。卵は2日〜4日で孵化します。

★ペットからペットへ★ 

一匹でもミミダニに寄生されているペットがいれば、あっという間に同居している他の子にうつってしまいます。たとえば、親犬や親猫にミミダニが寄生していれば、寝床や通り道など住んでいる生活環境にはミミダニの卵がたくさん散らばっているはずなので、子犬や子猫全員に感染してしまいます。

親子でなくてもそれは同様です。ですからもし多頭飼いの家で一匹でもミミダニに感染してしまったら、同居している子全員が感染していると思って治療を行なわなければなりません。そうでないと一匹が治ってもまた他が…というように感染のいたちごっこになってしまいます。

辛いミミダニの症状

ミミダニの主な症状は激しい痒みです。
絶え間なく頭をぶんぶんと振りまわしたり、後ろ足で耳のうしろをバリバリと引っかきます。その結果、後足の爪で自分の皮膚を掻き壊してしまい、皮膚炎を起こしたり、引っかき傷から血が出てしまうこともよくあります。そして耳の穴には分泌物やミミダニの糞などが混ざった黒っぽいカサカサした耳アカが大量に見られます。
痒みがあまりにひどい場合にはストレスでぐったりしてしまったり、食欲がなくなってしまうこともあります。

ミミダニの感染をそのまま放っておくと、慢性の外耳炎に進行します。状態が進行すると、それが原因で中耳炎、内耳炎を起こしてしまい、斜頚(首をかしげたままになってしまう)や旋回運動(同じ場所をぐるぐると回りつづける)をおこしてしまうこともあります。

★ミミダニの治療法★
 
ペットが耳を痒がっているようであれば、まず早めに動物病院で診察してもらいましょう。動物病院には耳鏡と呼ばれる耳の奥まで覗くことの出来る器具があるため、表からは見ることの出来ない鼓膜の近くまで検査をする事が出来ます。もし、それでミミダニが見つかったらすぐに治療を開始します。おうちに他にもペットがいる場合には同時に治療を行なう必要があります。

治療のまず第一歩は耳の中の洗浄です。ミミダニの餌となる耳垢と一緒にミミダニ本体も取り除くのが目的です。また、きれいにする事によって耳穴全体に薬が行き渡るようにするためです。綿棒や耳掻きなどを使用しますが、洗浄液を耳の中に直接入れて洗い流す事もあります。
 その後、ミミダニを殺す薬を使用します。この薬は成虫と幼ダニを殺しますが、卵は殺すことができません。ですから、卵が孵化する3週間後に再び投与する必要があります。でないと耳の中の卵が孵りまたダニが湧いてしまうのです。ミミダニの治療は途中で止めずに根気よく続ける事が大切です。

痒みによる引っかき傷で起こした2次的な皮膚炎や細菌性外耳炎がある場合は、ミミダニの駆除と同時に抗生物質や消炎剤で治療します。

★お家で出来るミミダニ退治★

おうちの中で飼っている子にミミダニがついてしまったら、ペットのベッドやカーペット、ソファなどにもミミダニの卵や幼虫が潜んでいる可能性があります。部屋の掃除はこまめにし、マットや毛布の洗濯や消毒なども丹念に行いましょう。

ミミダニは耳掃除をこまめにしていれば感染しない、というものではありません。もともと犬や猫の耳の中は殺菌作用のある分泌物で保護されています。耳掃除をしすぎると逆にその保護膜まで拭き取られてしまうこともありますし、外耳道を傷つけて余計に炎症をひどくしてしまうこともあります。お掃除はほどほどにしましょう。

ミミダニの予防で最も大切なのが早期発見です。おうちでも時々耳の中をのぞいてみることも大切ですが、定期的に動物病院にかかり、全身をチェックしてもらいましょう。早期発見することができれば治療も早く開始できるため、耳ダニの繁殖を最低限に抑えることができます。

また、前述したように、ミミダニはすでにミミダニを持っている子から卵をもらうことで感染します。新しくおうちにペットを迎えるときには、いっしょにする前に必ず健康診断をしてもらうようにしましょう。

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