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猫の怪我パート2 〜管理と予防〜 [その他]

猫がケンカして帰ってきたら、傷の有無をよく確かめてあげて。エリザベスカラーはどうして必要なの?ケンカから移される病気の話などお話します。


★傷の見つけ方★
 
膿が溜まってくると体が熱を持ちますので、食欲や元気がなくなって、おとなしくなってしまうこともあります。
牙の傷は、上の牙と下の牙で挟みますから、体の反対側にもう一つ穴があいていることが多くあります。刺し傷を見つけたら対になる傷がないかどうかを探してください。両方とも平等に治療しないと、きれいに直らないことがあります。

爪にも牙にも細菌がくっついています。引っ掻き傷になった時はさほど心配ありませんが、深い刺し傷になった時は細菌が傷の中に埋まってしまいます。その結果、猫の傷は膿んでしまうのです。


★傷の爆発★

尖った爪や牙の先端の方にくっついていた細菌は、深い刺し傷を与えた時に皮膚の中に残り、良く伸びる 皮膚が傷口を塞いでしまい、細菌は皮膚の下に隠れてしまいます。この細菌は空気があまり好きではありません。空気がたくさんある所では増えることができないのです。

ですから、浅い引っ掻き傷の時はさほど悪さをしないのですが、深い刺し傷で皮膚の下に隠れてしまうと、あまり空気がない場所で元気に増えていきます。

この細菌と戦った結果が膿です。刺し傷が小さくても傷の中で細菌が増えてたくさん膿ができてしまったら、膿ができてしまった全ての場所の皮膚が悪くなってしまいますから、突然爆発して流れ出す膿は大量で、その後の傷口は大きくなってしまうのです。
 
傷の位置が体の背中の方で、皮膚の下で膿が重力に逆らえずにおなかの方へ落ちてきてしまうと、傷とは関係ない場所が爆発してしまうこともあります。

良く伸びる皮膚のせいで傷口が塞がっていたり、治すために舐めたせいで毛が蓋になって塞がってしまったりすると、同じように細菌にとっては増えやすい環境になります。

皮膚の下で細菌が増え、体が細菌と戦って膿ができるまでに5日前後かかりますので、1週間前にケンカした時の傷が、今日になって爆発するのです。


★傷の位置★
 
顔や前足に傷を受けた時には「向かい傷」といって、相手と向かい合って負った傷ですからまだまだやる気は十分ですし、勝ったかもしれません。
 
しかし後ろ足や尻尾に受けた傷は「追われ傷」です。逃げているのに追いつかれて噛み付かれたり引っかかれたりした傷ですから、完全に負けてしまった証拠です。

「追われ傷」を負って帰宅した時には、年齢などの理由から猫の世界で下剋上が起こったことを察知して、そろそろ隠居してもらうように準備を始めましょう。


★ケンカで病気をもらう★
 
仲良しでももらってしまう可能性は十分にありますが、猫エイズや白血病といった治らない病気を移されてしまう可能性があります。ケガだけでしたら内臓は元気ですから、食欲がなくなることはあまりありません。これらの病気も感染してすぐに発症することは少ない病気ですので、発症したからといって、いつのケンカで移されたのかを判断することはできません。


★猫の天敵「エリザベスカラー」★
 
ケガをして動物病院にかかると、残った膿を絞り出されたり、注射を打たれたり、傷の周りの毛を刈られたり、薬を塗られたり、麻酔をかけて傷口を縫われたりしますが、ほとんどの場合には「エリザベスカラー」を付けてご帰宅となります。

プラスチックのパラボラアンテナのようなものを首につけられてしまうのですが、かのエリザベス女王のすばらしいレースの襟と形が似ていることから名づけられたようです。
 
パラボラアンテナとかエリマキトカゲとか、その時の流行の名前で呼ばれます。

傷口を舐めてしまわないように対処した人間の苦悩の策ですが、これが猫の天敵となります。首を振っても前足で引っかいても後ずさりしても抜けません。かゆい所を舐めることもできませんし、狭い所を通り抜けることもできません。多くの猫は大変ご機嫌を損ね、「むっ」とした表情で病院を後にします。

ただし、猫の舌は先述のとおり、傷を治す助けにはあまりなりませんので、獣医師の許可が出るまではずすことはできません。


★ケンカをやめて★
 
集合住宅やマイカーが増えたこともあり、猫を外出させずに室内飼育する事が主流になってきました。

猫の病気や死亡の原因として最有力である「交通事故」と「治らない伝染病(エイズ・白血病)」に出会う可能性は、室内飼育する事で回避する事ができるようになりました。

行動の自由を奪うようで気が引けることも事実ですが、ケンカもしないで済みますので、健康のためであることは否めないようです。

キーワード

猫 ケガ 猫エイズ 猫白血病 ケンカ 引っかき傷