獣医師や看護師が贈るペットコラム
獣医師や看護師が贈る
ペットコラム

いつでも元気にいて欲しいからここからコラムをお届けします

ペットクリニックHOME » 病気と予防 » 一覧 » 狂犬病のお話パート3 〜飼主さんの対策・・狂犬病発生国に出かける時〜 [予防医学]

予防医学

狂犬病のお話パート3 〜飼主さんの対策・・狂犬病発生国に出かける時〜 [予防医学]

最近になって外国へ旅行中狂犬病犬に噛まれ、日本に帰ってきてから発症してしまうという痛ましい事故がありました。同じ目に合わないためにはどんな対策をとればよいの?・・飼い主さんが渡航するときの注意点とは??


★日本での狂犬病に関する現状★

2006年11月、フィリピンに渡航中の男性が現地で野犬にかまれ、帰国後に国内で狂犬病を発症した感染例が2例メディアで報告されました。厚生労働省によると、国外で感染して国内で発症した事例は昭和45年にネパールで犬に噛まれた旅行者が帰国後に発症・死亡した事例以来、実に36年ぶりとなります。

日本は1950年に制定された狂犬病予防法により狂犬病対策が徹底的に強化されたこともあり、1957年以来根絶に成功しています。しかし「辛うじて水際で防いでいる」という状況で、今後狂犬病ウイルスが日本に侵入する可能性も高く、依然として脅威だということも事実です。

狂犬病の蔓延を防ぐための集団免疫として、日本の犬の70〜80%に予防接種されていることが必要だと言われています。日本では半世紀近く狂犬病が確認されていないので、「大丈夫では」と思いがちですが、決して根絶した病気ではなく、あくまで“予防”策をとっているうえでの未発生国だと知っておかなければなりません。


★飼い主さんの渡航においての狂犬病予防★  

人間が狂犬病死から免れるためのポイントが2点あります。

まず狂犬病発生地域に渡航する場合は、事前に狂犬病予防注射を接種するということです。2点目は、狂犬病危険動物に噛まれた場合の迅速な対応が必要となります。

狂犬病危険動物に咬まれたあと、定められた間隔で繰り返し狂犬病ワクチンを接種する曝露後発病予防が狂犬病死を免れるための唯一有効な手段です。

発展途上国で狂犬病危険動物に咬まれた場合、近くに信頼出来る病院が見つからない場合や、コストの面から危険性の高いセンプル型ワクチン(従来型のワクチンで重大な神経系副反応が発生する可能性が高いワクチン)が出回っていることからも、狂犬病発生地域へ渡航する場合は、出来るだけ事前に予防接種を予め受けていくことが勧められています。


★飼い主さんの狂犬病対策★

1.噛まれる前のワクチン接種(曝露前接種)


副反応がほとんどない狂犬病ワクチンが利用可能となり、狂犬病危険動物に咬まれる前に予防接種(曝露前免疫)をすることが出来るようになりました。狂犬病常在地に渡航する場合は、出発前に狂犬病ワクチンを接種しておいたほうが無難です。
WHO(世界保健機関)では曝露前に狂犬病ワクチンを0日、7日、28日の3回接種する方式を勧めています。一方、日本では狂犬病ワクチンを1ヶ月間隔で2回注射し、6ヶ月後に3回目を接種することが勧められています。出国前に少なくとも2回の狂犬病ワクチン接種を済ませることが必要です。

2.WHOが推奨する狂犬病常在地で狂犬病危険動物に噛まれた後の対応

(1)水と石鹸で傷口を十分洗う
(2)アルコールやポビドンヨードなどの消毒液で消毒する
(3)曝露後接種


噛まれた後の対応として曝露後接種である狂犬病ワクチンを、初回接種日を0日として、0日、3日、7日、14日、30日に接種することと、0日に抗狂犬病免疫グロブリンを注射するよう勧告されています。しかし日本では抗狂犬病免疫グロブリンが市販されていないので入手困難です。


2006年11月、男性はフィリピンで犬にかまれており国内での「発生」とはいえません。そして、狂犬病は人から人に感染することはありません。ですので、いたずらに恐怖心をあおることは避け、適切な予防と対策が必要といえます。

しかしながら、狂犬病とは世界的にはまだまだ身近な病気です。狂犬病の恐ろしさを心に留めておく必要があります。

キーワード

狂犬病予防注射 狂犬病 狂犬病ワクチン 検疫 入国