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寄生虫

猫の寄生虫について [寄生虫]

猫は孤独を好むなんていう話がありましたが、そうとも言えません。なぜなら、小さい頃から外に出ているネコちゃんは、何頭か仲良しの友達を外に持つことがあります。そんなとき相手のネコちゃんがもし寄生虫を持っていたらうつされてしまいます。またそうでなくても草むらなどから間接的にうつることもあります。
そこで、今回はそんな猫の寄生虫についてお話したいと思います。



★寄生虫にはどんな種類があるの?★


1、お腹の虫

・猫回虫(ネコカイチュウ)
3〜12cm程度の白い細長い虫です。大量に寄生されると吐いたり下痢したり体力を失います。1カ月くらいの仔猫ではお腹が張る、食欲不振など重篤な症状がでることもあります。
便に混ざって排出された卵がグルーミングなどで口に入ることで感染します。仔猫の場合、母猫から胎盤感染することも多くあります。またネズミや小鳥を捕って食べることで感染することもあります。

・猫鉤虫(ネココウチュウ)
1cm程度の細い白い虫で、腸に噛みついて血を吸います。また吸血する時に血液が固まらないようにする物質を口から出すので、血を吸い終わったあとも患部から出血が続きます。下痢、血便を引き起こします。多数寄生されると貧血をおこすこともあります。

・瓜実条虫(ウリザネジョウチュウ)
ノミから感染するサナダ虫の仲間です。節が連なったような形態をしていて、頭は小さく、腸にくっついて次々と新しい節が出来ていきます。末端の成熟した節にはたくさんの卵が詰まっています。卵入りの1cmくらいの白い節がちぎれて便に混ざって出てきます。
卵はノミの幼虫に食べられて、そのまま成長します。幼虫入りのノミをグルーミングのついでに飲んでしまうことでまた猫に条虫が寄生します。
健康上のひどい害はあまりありませんが、ちぎれて出てきた節はあたりに散らばりしばらくウニョウニョと動いていてあまり気色の良いものではありません。
ノミがいるとまた感染してしまうので、虫下しを行なう時には、必ず同時にノミも駆除します。

・マンソン裂頭条虫
カエルやヘビから感染する長くて平たい同じくサナダ虫の仲間。瓜実条虫と違って卵が直接排出されます。

・トリコモナス
原虫(単細胞寄生虫)の仲間。目に見えないほど小さい虫です。病原性は少ないと思われますが、大量に寄生すると下痢、水様便、血便を引き起こします。

・コクシジウム
原虫の仲間です。腸の細胞の中に入り、細胞を壊しながら増殖します。下痢や血便、食欲不振の原因になります。
この寄生虫は一度感染を受けるとなかなか駆除しにくい時があります。ごく少数の寄生では何の症状も出ないことがありますが、環境の変化やストレスで爆発的に増殖し、とくに子猫の場合は急速に消耗してしまう事もある怖い寄生虫です。

2、皮膚に付く虫

・シラミ
1〜2mmくらいの楕円形の虫です。毛を掻き分けると皮膚に多数食らい付いているのを発見できます。

・ノミ
ちょうどゴマくらいの大きさで、ゴマのような形をした黒い虫で、皮膚に付いて血を吸います。ジャンプすることで有名です。

・疥癬(カイセン)
眼には見えない小さなダニで、皮膚にもぐりこんで皮膚病を引きおこします。耳の縁から顔面に広がるカサブタ病変が特徴的。とても痒がります。

・ツメダニ
ぎりぎり眼に見えるくらいの大きさのダニ。痒がるけれども皮膚の症状は少し赤くなるくらいでそんなにひどくなりません。フケが多く出ます。

・ミミダニ
耳の中に住んで増殖し、外耳炎を起こすダニです。耳を痒がり、黒い耳垢が大量に出てきます。

★どんな検査をするの?★

お腹に寄生虫がいるかどうかは、主に便検査をすることで検査します。

便検査には直接便を顕微鏡で検査する「直接検査」と、指先程度の量の便を溶液に浮かせて浮かんできた寄生虫卵を集めて検査する「間接法=浮遊法」とがあります。

寄生虫の種類によってはどちらか一方の検査だけでは発見されない事があります。

皮膚につく寄生虫は眼に見えるものは虫を直接取って、顕微鏡で見て診断します。眼に見えない虫が疑われるときは毛を抜いたり、フケを集めたりする皮膚検査を行います。


★どうやって治療するの?★
 
お腹の虫に対しては駆虫薬を一定期間飲ませます。1回で駆虫できるものもありますが、大抵の場合は数回飲ませたり、何日か継続して飲ませたりします。

飼育環境にもよりますのでどのような駆虫方法をするかは獣医さんのいうことをきちんと聞いてそのとおりに行いましょう。
 
きちんと駆虫できたかどうか、何度も便検査をして確認した方がよいでしょう。

全身状態が良いときは駆虫薬を飲ませるだけで、下痢もすぐに治って元気になりますが、すでに脱水や貧血など重い症状がある場合はそちらも同時に治療します。ひどい場合は入院が必要なケースさえあります。皮膚の虫は種類に応じて外用薬を使います。


★人に移るの?★

寄生虫の種類によっては人へも感染します。とくに鉤虫などは経皮感染といって毛穴や小さい傷を入り口にしたり、直接皮膚に穴をあけて体内に侵入するので、下痢便はくれぐれも素手で触らないように注意しましょう。

もし触れてしまった場合はすぐに水道水で洗いましょう。下痢便がついてしまったところは良く拭いて塩素(薄めたハイターなど)などで消毒してください。

多くの寄生虫が便に含まれた卵などが口から入ることで感染します。おやつ、ご飯を食べる前はしっかりと手を洗いましょう!

皮膚の寄生虫が見つかった場合、駆虫が完全になるまでは一緒に寝たり抱っこしたりすることは避けましょう。
 
このようなことをきちんと守っていればペットからの寄生虫感染を過度に怖がる必要はありません。


★どうすれば防げるの?★

ノミやシラミは定期的に外用薬(今はスポット剤が主流)を使用することで防ぐことができます。

寄生虫をもらわないようにするためにも本当は猫も家の中で飼う方がよいのです。どうしても事情が許さない場合はせめて定期的に検便をして早期発見、早期治療を心がけましょう。
今まで猫を飼っている状況に新たな猫を導入するときは、皮膚や便に寄生虫がいないかどうか、必ず最初に動物病院で診察してもらい、駆虫が確認できるまでは他の子と一緒にしないようにしましょう。


★最後に★
意外に色々な種類の寄生虫がいるものですよね。むやみに怖がる必要はありませんが、仔猫では症状がとてもひどくて体力を失ってしまうこともあります。

下痢をしているなど状態がおかしいときは、すぐに動物病院に連れて行って寄生虫検査も含めて診て頂きましょう。
特に、拾った仔猫は寄生虫を持っていることがほとんどです。必ず最初に動物病院で診てもらいましょう。

多頭飼いをしている場合は、1頭でも虫をもらうとすぐに蔓延してしまいます。もしお家のネコちゃんから1頭でも寄生虫を持っている子が見つかったら必ず全頭同時に駆虫する必要があります。

簡単に予防できるものは普段から予防しておきましょう。