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予防医学

マダニから人にうつる病気があるんです [予防医学]

ペットの嫌な寄生虫マダニ!マダニは血を吸うだけではありません。人にいろんな病気を媒介することをご存知ですか?よそ事ではありません。国内でマダニから感染したと考えられる病気がいろいろと報告されています。

★マダニの吸血と病原体の感染★

マダニはさまざまな哺乳類や鳥類の皮膚に口を差し込んで吸血します。 

普段は草むらなどに潜んでいますが、動物の熱や振動、吐く息の二酸化炭素などを感知することができるので、野生動物やお散歩中の犬が近づいてきたら、すぐに乗り移ってくるのです。8本の足にはそれぞれ鋭い爪を持ち、毛や皮膚にしがみつき、皮膚の柔らかい顔や腹部に移動して吸血を始めるのです。
 
マダニの口は一度刺し込んでしまうとセメント様の物質を注入してがっちり固定してしまうので、ちょっとさわったくらいではもう抜けなくなってしまいます。 

長時間吸血して体いっぱいに血を吸うと、その体重は200倍にもなります。そうなったらマダニは一度地面に落ちて脱皮をします。そして一回り大きくなって、また別の動物に乗り移り、それを繰り返してどんどん大きくなっていくのです。成虫になると3000から4000もの卵を産み、そこから孵った幼ダニが、また吸血を始めるというわけです。

マダニが吸血するときには唾液を皮膚に出していて、これには周囲の細胞を溶かして、血液を凝固させなくする作用があります。そして、吸血するときに血液中に存在しているさまざまな病原体を一緒に吸い込み、次にまた別の動物を吸血するときには唾液中にその病原体を一緒に排出するのです。このようにしてマダニは、さまざまな病気を媒介しているのです。


★日本におけるマダニが媒介するズーノーシス★
日本では次のような病気がダニを媒介として動物から人へ広がっているとされています。

1.リケッチア感染症
紅斑熱群リケッチアと呼ばれる細菌が原因となります。世界中にリケッチア感染症と呼ばれる病気がありますが日本紅斑熱は日本特有のズーノーシスです。頭痛、発熱、倦怠感などの症状が見られ、重症では死亡することもあります。

2.エールリヒア感染症
エールリヒアという細菌によってひきおこされる病気です。発熱、頭痛、体の痛みなどのインフルエンザ様症状が見られます。病気が進行すると昏睡に陥ることもあります。

3.野兎病
野兎病菌という細菌が原因となります。細菌の数が少量でも発症しやすく、リスやネズミ、ウサギなどが感染すると言われています。ペストに似た症状が出るといわれていますが、主に(1)潰瘍リンパ節型 (2)眼リンパ節型 (3)リンパ節型 (4)チフス型の4パターンがあります。

4.ライム病
原因は細菌の一種であるスピロヘータのボレリア菌となります。ノネズミや小鳥などが保菌者となります。症状は特徴的な遊走性紅斑、発熱、神経症状などで、死に至ることもあります。

5.バベシア感染症
バベシア属の原虫(単細胞動物)が原因となります。赤血球内に寄生し、発熱および溶血性貧血が見られます。

6.ダニ媒介性脳炎
フラビウイルスというウイルスが原因となります。日本では最近北海道で見つかり、問題となっています。頭痛、発熱に始まり、痙攣および麻痺などの脳炎症状をひきおこします。死亡する場合もあり、回復しても多くの例で麻痺が残る、恐ろしい病気です。


★終わりに★

ペットのためだけではなく、私たち人間のためにもマダニへの予防対策が必要です。かかりつけの動物病院で予防対策について話を聞いてみるとよいでしょう。

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