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予防医学

えっ?ワクチンでアレルギー? [予防医学]

ワクチンを打ちましょう、と言われて打ったけれどそもそもワクチンって何?そういう仕組みで防御力が付くの?ワクチンでアレルギーが起きるって聞いたんだけど?・・ワクチンについて勉強してみよう。


★ワクチンとは?★ 
 
病原体が侵入した時、体内では敵である病原体の侵入を察知して第1陣として戦う“尖兵部隊”が攻撃を開始します。たいしたことのない病原体はこれでやっつけることができますが、強力な病原体にはさらなる応戦が必要となります。

そんな時出現するのが“特殊部隊”です。“特殊部隊”は、その病原体のみを専門に攻撃する力を持っています。更に、素晴らしい記憶力も持っています。2度目にその病原体が体内に侵入した時には、「前にやっつけた相手がまた侵入してきたぞ。やっつけ方はもう記憶しているぞ」と、病原体が増殖する前に撃退するのです。

ワクチン(免疫)を接種するとは、「万が一、病原体が侵入してきたときにそれをやっつけるために、“特殊部隊”を意図的に体に入れておく」ということなのです。

人間の子供にも様々な予防接種がありますね。主なものとしては、BCG(結核)、ポリオ(小児麻痺)、麻疹風疹混合ワクチン(MR)、三種混合予防ワクチン(DPT=百日せき、ジフテリア、破傷風)などです。もちろんこれらの予防接種もワクチンです。


★ワクチンの種類は?★ 

狂犬病予防注射以外にワクチン接種する必要があるのは、感染症を予防するための通称“混合ワクチン”です。狂犬病予防接種は法律で義務付けられていますが、混合ワクチンは人間のインフルエンザや水痘(みずぼうそう)のような任意接種です。犬用では5種〜9種、猫用では3種〜7種までの感染症に対するワクチンの種類があります。

さて、仔犬や仔猫のワクチン接種時期はいつ頃が好ましいのでしょうか? 仔犬や仔猫は母親から「免疫」を受け取ります。この「免疫」は8〜14週でなくなってしまいますが、この自然の免疫が存在する間は、いくらワクチンを接種したとしても母親からの「免疫」がワクチンの作用を邪魔してしまいます。ですから通常は仔犬や仔猫のワクチン接種は生後8週齢以後に行います。

また、妊娠中の動物に生ワクチンを接種すると奇形や流産が起こる危険性があるので時期をずらす事が必要です。何種のワクチンが最適なのかは、生活環境や飼育方法などによって異なります。接種時期と合わせてホームドクターの獣医師とよく相談すると良いでしょう。


★犬のワクチン副作用とは?★ 
 
ワクチンは病原体から動物を保護するために接種するものです。ワクチンには「生ワクチン」「不活化ワクチン」があり、生ワクチンは病原性を失わせた上で生きた病原体を接種するものです。

一方、不活化ワクチンの場合、毒性を無くした病原体か、あるいは弱めた病原体の一部から作られます。どちらも毒性を失わせているのですが、当然体には刺激として伝わります。この刺激によって稀に副作用を及ぼす場合があります。その副作用には注射部位の軽度の熱感から、アレルギー反応まで様々な反応があります。

<軽度な副作用>
発熱、不活発、食欲低下などの症状が注射後1〜2日で出ることもありますが、治療なしで解決することがほとんどです。

<中等度な副作用>
代表的なものはじんましんです。ハチに刺された時を思い出してみてください。ハチ毒に対して皮膚の血管が反応すると、激しい痛みを伴い、真っ赤に腫れあがります。動物の場合はこのじんましんが、唇や目の周りあるいは首の周りの赤みや腫れとして現れます。

<重度な副作用>
「アナフィラキシー反応」といわれるものです。この反応は突然起こり、呼吸困難に陥るなど生命に関わる危険性のあるアレルギー反応です。


★では、アナフィラキシー反応とは?★ 
 
アナフィラキシー反応は、狂犬病・犬コロナウイルス・犬パルボウイルス、そしてレプトスピラなどの不活化ワクチンより一般的です。

先に述べた通り、不活化ワクチンは毒性を無くした病原体か、あるいは弱めた病原体の一部から作られ、病原体は生きていません。ですからワクチンとしての効果を高めるために化学物質を加えています。その化学物質(アジュバンドなど)がアレルギー反応の原因となることが多いのです。

ワクチン後のアレルギー反応の免疫学的メカニズムは、実はまだ良く分かっていませんが、他に考えられる原因物質としては、牛胎児血清や蛋白安定剤(ゼラチン、カゼイン、そしてペプトン)などであるといわれています。


★ワクチン副作用の発生率は?★  
 
犬のワクチンアレルギーの確率は、15000分の1と低い確率ではありますが、ある報告によるとワクチン関連性副作用(非特異的ワクチン反応、アレルギー反応、じんましん、もしくはアナフィラキシー)は、年齢が若いほど、体重が軽いほど、また去勢・避妊をしていないほど副作用のリスクが増加すると言われています。

つまり若い中性化した小型犬はワクチン接種の後72時間以内に、ワクチン関連性副作用のリスクが高いと言うことです。ですから、獣医師と接種時期や接種前のコンディションを確認・相談する必要があります。

日本ではミニチュア・ダックスフンドにワクチン反応が起こりやすいという風説があります。しかしミニチュア・ダックスフンドだからワクチンの副作用が多いのではなく、小型犬だということと、日本で飼育されている頭数が多いことが関係していると思われます。ちなみにアメリカではワイマラナー、グレート・デン、ドーベルマンにワクチン反応が起こりやすいと言われているので、やはり飼育頭数が関係しているのでしょう。


★ワクチンアレルギー対策とは?★ 
 
花粉などに対する季節性のアレルギーがある犬は、“アレルギー症状の出ない時期”にワクチン接種する方がよいでしょう。というのも、一年の中である一定期間だけ皮膚炎などの症状が出るアレルギー性皮膚炎の犬に対して症状が出ている期間にワクチンを接種すると、ワクチンアレルギーが悪化するという報告があるからです。

また、接種後の状態は注意深く観察する必要もあります。通常、反応はワクチン接種後、数分〜数時間(24時間未満)以内に起こります。ワクチンを接種したら、動物病院の待合室に戻った時点から観察を続け、特に接種後30分〜40分は経過を注意深く観察しましょう。また、自宅に戻ってからも食欲や元気など通常と少しでも違うことがあればすぐに動物病院に連絡できるよう、観察を怠らないようにしましょう。

動物病院によっては、万が一のアレルギー反応に迅速に対応できるよう、午前中の接種を促しているところもあるようです。


★おわりに★
 
ワクチンによる副作用の発生は限りなくゼロに近くあるべきですし、ゼロに近づけるための研究も進んでいます。しかし、健康な動物に対して、薬物であるワクチンを投与するのですから確率的に低いとはいえ、副作用が全く起こらないわけではありません。

だからといってワクチンを接種しない、という選択は賢明ではありません。ワクチンを接種せずに感染症のリスクを常に背負いながら生活をするのは非常に危険です。

大切なのは、かかりつけの獣医さんとしっかりと話し合い、適切な時期に適切なワクチンを接種することで愛する愛犬や愛猫を感染症のリスクから守ることです。

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