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泌尿生殖器

多飲・多尿に要注意パート3 〜犬の子宮蓄膿症について〜 [泌尿生殖器]

避妊していない雌犬では高い確率で子宮に膿が貯まる子宮蓄膿症が発症します。子宮蓄膿症は細菌の毒素が腎臓を侵したり、腹膜炎で死亡する可能性もある怖い病気です。治療は手術が標準。やはり”多飲・多尿”が早期発見の良い目安になります。


★犬の発情出血と人間の月経は同じか?★
 
雌は「体の司令塔」である脳から分泌されたホルモンの命令によって卵巣から卵胞ホルモン(エストロジェン)が分泌され、「卵」が育ち、成熟すると卵胞から卵が旅立つ(排卵)というサイクルを繰り返しています。「陰部からの出血」は正確には「発情の前兆(発情前期)」の開始を意味します。そして雌犬が雄犬に交尾を許す瞬間から「発情期」がスタートします。犬ではこの時期に排卵します。犬は常このサイクルを6〜7ヶ月の周期で繰り返します。
 
よく誤解されていますが、発情の前兆となる陰部からの出血は人の生理(月経)に相当する出血とは意味合いが異なります。人では出産のために用意していた子宮内膜が不必要となり剥離することによって出血しますが、犬の場合子宮内膜の剥離ではなくホルモンの影響で子宮内膜が充血することによって染み出た結果として出血します。


★子宮蓄膿症はどうして発生する?★
 
犬でも猫でも発情の後は子宮の中の環境がホルモンの影響で変化します。精子と卵子が受精してもしなくても卵巣内で黄体ホルモン(プロゲステロン)というホルモンが優勢になり8〜10週間程妊娠の準備段階となります。
 
この時期(黄体期)、受精するための精子を攻撃しないようにディフェンスが甘くなります(免疫機能低下)。精子が攻撃を受けないということは雑菌も攻撃を受けにくいということになります。さらに受精卵を守るために、子宮の入口(子宮頚管)が閉じられるため膣から侵入した細菌は退治されずに子宮内部で生き残り、精子が進みやすい環境となります。これが子宮蓄膿症の発生メカニズムなのです。猫は交尾排卵動物(最近の研究で猫も自発的に排卵するという報告もある)なので犬に比べて子宮蓄膿症の発生は一般的に多くありません。


★子宮蓄膿症の症状は?★
 
一般的な症状としては食欲低下、嘔吐、脱水、発熱(20%の症例)などがあります。ステージにもよりますが子宮に貯留した膿汁が多ければおなかがぽっこりしてきます。また犬の場合は細菌による毒素が腎臓にダメージを与える為、たくさんオシッコをする結果として水を“がぶ飲み”するようになります(多飲多尿)。
 
もし子宮の入口が開いていれば膣からドロッとした膿汁が排泄され、尻尾の裏や陰部周囲の毛や皮膚に膿が付着して悪臭を放つようになります。しかし子宮の入口が閉じている場合は子宮の中に膿汁がどんどん貯留していくので、まるで風船が破裂するかのようにおなかの中で大きくなった子宮が破裂して腹膜炎に発展しないよう早急の対応と十分な注意が必要となります。


★子宮蓄膿症の治療は?★
 
初期治療としては静脈内輸液と抗生物質が必要となります。感染菌は大腸菌が最も一般的であるため大腸菌に抗菌作用がある抗生物質を選択する必要があります。しかし残念ながら抗生物質による単独治療では完治しません。少し古いですが1987年のある研究によると子宮蓄膿症による死亡率は8%で一般的に子宮破裂と細菌性腹膜炎と関連しています。従って最終的には手術で卵巣と子宮を取り除く方法がゴールドスタンダードとなっています。

早い段階で避妊手術をすれば子宮蓄膿症に関しては100%の予防効果が期待できます。しかし当然ですが妊娠・出産はできなくなります。


★偽妊娠とは?★
 
実は妊娠に“失敗”したすべての雌犬は発情後に「偽妊娠」の状態となります。つまりホルモン的に妊娠した場合と何も変わらない状態となるのです。最も分りやすいサインは「おっぱいがでる」でしょう。場合によっては先走りして巣作り行動やぬいぐるみの世話をすることもあります。通常は1〜3週間続くだけなので治療対象とはなりません。


★犬の偽妊娠と人間の想像妊娠は同じではない★
 
想像妊娠は強い心理的ストレス(妊娠に対する恐怖や願望)により月経が遅れるなどの妊娠したようなサインが見られることを指します。つまり生理的には正常であるため妊娠検査薬(妊娠すると作られる妊娠ホルモン;hCGを検出)は陽性と出ることはありません。また心理的ストレスが緩和された時点でサインは消えます。

一方犬の偽妊娠は妊娠した時と同じホルモン分泌が行なわれているので、ホルモン検査的には「妊娠陽性」であり、仮に妊娠に対する強い不安があった場合でもストレスの原因がなくなったとしてもサインは消えません。偽妊娠のサインは個体差が大きいが、強く現れる犬は子宮蓄膿症を発症するリスクが上がるので注意が必要です。

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