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内分泌

犬の甲状腺機能低下症 〜最近やけに動作がのんびりなんです〜 [内分泌]

甲状腺機能低下症って聞いたことがありますか?高齢犬に多い甲状腺機能低下症について。どんな症状?検査で気をつけることは?どんな治療をするの?・・・そもそもホルモンって何から始めて詳しく解説します!


★なぜ起こるの?★

喉の下辺りにある甲状腺という内分泌器官から産生・分泌される甲状腺ホルモンが分泌できなくなるため起こります。ワンちゃんの甲状腺機能低下症の95%は甲状腺自体の機能不全(原発性)が原因であるといわれています。

さらに、原発性の原因を細かく説明しましょう。原因不明ですが特発性に甲状腺が萎縮してしまうというものと、免疫介在性(自己免疫反応により甲状腺が破壊される)あるいは遺伝性によるリンパ球性甲状腺炎となるものが考えられ、このどれかが起きた結果、甲状腺で産生・分泌されるはずのホルモンが欠乏してしまうのです。


★どんな症状があるの?★ 
 
甲状腺ホルモンは、エネルギー代謝やタンパク・ビタミン・脂質代謝などに作用するため、このホルモンの欠乏は身体の活動に関するものから皮膚まで、あらゆる影響を及ぼしてしまいます。具体的にどんな症状があるのか見ていきましょう。

・無気力になり、寝ている時間が多くなる。また、沈鬱になる
・食べ過ぎではないのに体重が増加してしまい、肥満になる
・被毛の不良や脱毛がおこる
・皮膚の異常(お腹の皮膚が黒ずんだり、鼻筋の辺りがガサガサしてきたりするなど)
・寒さに対して弱くなる
・外耳炎を起こす
・皮膚が乾燥し冷たい
・徐脈になる
・歩様異常がおこる
・筋障害や末梢神経障害になる
・尾の脱毛がおこる
・皮膚の肥厚や慢性脂漏性皮膚炎になる
・高コレステロール血症がおこる

 
甲状腺機能低下症はどんな犬種でも発生し、性差はありません。一般には5歳くらいから発症することが多いですが、若齢でも発生します。


★診断はどうするの?★ 
 
症状だけで鑑別するのは難しいため、確定診断をするために血液検査を行います。

「最近お散歩に行きたがらないし、寝てばかりいる」「毛艶が悪くなってきたな」といった程度の症状しか示さない場合もあるため、「年のせいかしら? 」などと考えて見過ごしてしまいがちです。しかし、実はそれがワンちゃんの身体に起きている異変の重要なサインなのかもしれないのです。少しでも気になる異変があれば、動物病院に相談しましょう。飼い主さんから得られる情報をもとに判断し、血液検査を行います。

血液検査による確定診断は、甲状腺関連ホルモン(甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモン)を測定することで行われます。注意しなければいけないのが、甲状腺は正常だが甲状腺以外の疾患によって甲状腺ホルモンが低下してしまっているというケースです。

この疾患には腫瘍・糖尿病・クッシング症候群・貧血・循環器疾患などがあげられます。甲状腺機能低下症は誤診に注意をし、他の基礎疾患を除外しなければ正しい診断はできません。


★どんな治療方法があるの?★ 
 
甲状腺機能低下症と診断がされれば、治療はいたってシンプルです。産生・分泌できなくなった甲状腺ホルモンを、薬で補充してあげれば良いのです。

初期は、どの程度の量を補充してあげればよいのか探る必要があるため、投薬して再度血液検査を行い、モニターする必要があります。適切なホルモン補充ができれば、1〜2ヶ月以内に体重の減少や、活発さが戻り、発毛や毛質の改善が認められるでしょう。

適切にホルモンを補充し続けていれば予後は良いでしょう。


★おわりに★
 
甲状腺機能低下症と診断を下すには、ただ単純に甲状腺ホルモン値が低いというだけでは確定診断となりません。前述したように甲状腺は正常なのに甲状腺ホルモン値は低くなってしまうような疾患が他にもあるからです。

循環器疾患によって甲状腺ホルモン値が低下しているからといって、甲状腺機能低下症としてホルモン補充治療を進めるかといったらそうではありません。このように甲状腺機能低下症とは、基礎疾患の有無など、身体全体の状態を総合的に考慮して診断を下す必要があるという複雑な面もある疾患なのです。お家のワンちゃんをよく観察してあげてください。少しでも症状に当てはまる変化があれば、早めに動物病院に相談してくださいね。

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