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造血系

猫白血病ウイルス感染症の話 [造血系]

猫にはウイルスでうつされる白血病があるのをご存知ですか?このウイルスに感染すると白血病以外にもいろんな病態を引きおこします。どこからうつるの?どんな症状になるの?ワクチンは?


★どこで感染するの?★
 
猫白血病は主に外で感染することが多いと言えます。例えば感染猫とのグルーミング、ケンカの咬み傷からなど、仲間同士でうつし合うことがあります。ウイルスは、感染猫の唾液、涙、糞尿、血液、乳汁中に存在しています。

従って、感染猫と同じ食器でご飯を食べると感染する可能性は十分あるのです。しかし猫白血病ウイルスは、猫の体外では比較的弱く、洗剤で殺すことができます。ですから他の猫が出入りするような環境では、しっかり食器を洗うことが大切です。

非常に注意が必要な環境は多頭飼育です。全頭検査で感染しているかどうか確認し、もし感染が分かれば他の猫から隔離する必要があります。外に出て感染猫と接触する可能性のある猫には、感染の有無を調べる検査を行い、感染していない場合にはワクチン接種が必要となります。

分娩時における感染については、感染した母猫の80%に、胎子や新生子の死亡がみられます。また仔猫が生き残ったとしても、少なくとも20%は胎盤または母乳を介して感染を受けてしまうといわれています。


★検査について★

白血病のウイルスが体内に存在するかどうかの有無は、血液によって調べることができます。しかし、検査で注意することがあります。それは一回の検査結果では、必ずしも確実な診断につながるとは限らないということです。

つまり、実際には感染しているのに、検査結果が陰性(−)となってしまうことがあるのです。1回目に検査した時期がたまたま感染初期だったとしたら、結果は陰性(−)と判定されますが、ほとんどは数週間後の再検査で陽性(+)の結果を示します。このような場合も考えられるので感染の可能性があった時点から4ヶ月以降に再検査を行い、感染の有無を最終確認することをお勧め致します。

また、1回目に陽性(+)と判定され、その後2回目で陰性(−)となる逆のパターンもあります。感染後4ヶ月までは陰性になる可能性があるので、再検査をした方がよいでしょう。

しかし、4ヶ月後以降の再検査でも陽性(+)と判定された場合は、持続感染が強く疑われ、今後ウイルスが消える可能性は極めて低いと考えられています。多頭飼育でニューフェイスが入ってきたり、自由に外出できるような環境下の猫は定期的に検査を行った方がよいでしょう。


★症状について★

感染した猫の約3分の1は持続感染となり、発症すると80%の猫が3年以内に死亡するといわれています。発症までの期間は長く、その間ウイルスを排泄し続け、他の猫へうつしてしまいます。とくに仔猫や若猫に感染すると、発症しやすく死亡率も高い病気です。残りの約3分の2は、無症状や突然ウイルスが消えてしまったりします。

では、猫白血病ウイルスに関係する主な症状をみていきましょう。

・食欲不振
・体重減少
・貧血
・発熱
・下痢
・くしゃみ、鼻水、鼻づまり
・口内炎
・流産、死産


猫白血病ウイルスは、白血病以外にも以下のような様々な病気を引き起こします。

リンパ肉腫/リンパ性白血病
不良性貧血/溶血性貧血
血小板減少症/白血球減少症
難治性口内炎
繁殖障害(流産・死産)
腎臓病



★予防について★

<まずは、ウイルスとの接触を避けること>

前述したように、猫白血病ウイルスは唾液、涙、糞尿、血液、乳汁からの感染が多いので、陽性猫との接触を避けるようにします。特に外の猫は家猫より感染率が高いことから、家猫は外に出さないことをお薦めします。

<ワクチン接種を受ける>
 
猫白血病はワクチンで予防することができます。猫白血病ワクチンを接種するとワクチン誘発性の線維肉腫(腫瘍)が発生することがあります。しかしその発生率は極稀なので、特に感染猫に接触する機会が多い環境下の猫ちゃんにはワクチン接種をお薦めします。


★治療について★

残念ながら、ウイルスそのものを治す治療はありませんが、動物病院ではそのときの症状に応じて適切な治療をします。

できるだけストレスをかけないで過ごせるようにし、インターフェロンで免疫力を高めたり、二次的な細菌感染を抑えるために抗生剤を投与します。白血病やリンパ腫が発症した場合は抗がん剤を使用したりします。

★おわりに★

猫白血病ウイルスは感染の有無を明確にし、予防に努めることが大切となります。検査を受けていない猫ちゃんは、できるだけ早めに検査を受けることをお薦めします。感染していても症状が出ないことも多いので、よく注意して猫ちゃんの様子をみてあげてください。飼い主さんの正しい知識と意識が、健康な猫ちゃんを感染から守ることになるでしょう。

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