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神経感覚器

ひょっとして痴呆症?パート1 〜痴呆のサイン〜 [神経感覚器]

ペットもいよいよまして高齢化の時代。それに伴って痴呆症さえ多くなってきました。痴呆症ってどうしてなるの?どんな風になってしまうの?・・・みんななるかもしれない痴呆症。転ばぬ先の杖は正しい知識です。


★「痴呆かな?」と思う症状が、いくつ当てはまりますか?★
 
以下に挙げたものは痴呆の症状として実際よく目にするものです。このような症状が見られたら、痴呆の可能性があるかもしれません。

・昼と夜が逆転し、明るい昼間は寝ていて夜に起きている
・夜になると意味もなく大きな声で鳴く
・トボトボと歩く、徘徊する
・飼い主さんや家族のことがわからない、区別がつかない
・歩いていて壁に頭を当てる、隅っこに頭だけを入れている
・くるくる円を描くように回る
・食欲が異常だったり、よく食べるのに痩せている
・おしっこをもらす、トイレを失敗することが多くなる
・前進ばかりで後退できない
・呼びかけや習慣行動など、何事にも無反応になる。(もしく・興奮しすぎるなど感情のコントロールができない)



★どうして起こるの?★
 
病気からくるものでは、脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、血管が破れたり(脳出血)して、脳の血管障害から起こる痴呆が多いようです。その他にも老齢に伴い脳の神経細胞が減り脳全体が小さくなることで起こったり、人間で言うアルツハイマー病の原因と同じ「βアミロイド」という物質が脳内に蓄積することにより起こると言われています。しかし、詳しい原因はまだはっきりわかっていません。
 
またその他にも老化が進んだりボケの症状が現れたりする原因の一つに、体の中の酸化物質が増えることが考えられています。「酸化」とはいわゆる「さびる」ことです。体の中でも鉄のさびにあたるような物が酸化によって作られ、いろいろな病気を引き起こしたり老化を早めたりします。実際に最近ではそれを予防するために、“抗酸化物質”と呼ばれるものを含む健康食品が増えてきていますよね。

高齢になるにつれて痴呆になる犬とならない犬がいますが、どの犬にもそうなる可能性はあります。だからこそ、飼っているペットが高齢になる前に痴呆症について一般的な知識を身につけ理解しておくことが必要なのです。


★痴呆の現状は…★
 
ペットに痴呆がはじまり、夜中に突然吠え始めどうしても止まらない状況は飼い主さんにとっては耐えがたいものですし、ご近所への迷惑を考えると大変辛いものです。また痴呆になると場合によっては、その子特有の感情表現がまったく見られなくなってしまうこともあるそうです。
 
しつけ内容、トイレの場所や飼い主さんの存在、自分の名前など今まで覚えてきたことを忘れてしまうようになります。

一方、排泄に対しては本能がある程度残ると言われています。野生に近い動物である犬には敵から身を守るために自分の匂いを残さない本能があり、また自分の寝床は汚したくないという本能もあります。ですから、「垂れ流す」ことはあまりないそうです。また、老齢になるにつれて目や耳の機能が衰えてきても、嗅覚だけは長く残るようです。

痴呆症は完全に治すことができない病気のため、飼い主さんの精神的な苦痛や肉体的な疲労を積み重ねていく病気かもしれません。でもその反面、できるだけ寛容をもって愛情を注げば改善に向かっていく場合もあるのです。


★痴呆になる前に★
 
急速に元気がなくなるような病気と違って、ペットたちの痴呆の症状は発見が難しく、見落とされがちです。「特に病気の様子はないけれど、元気もあまりないし以前に比べてハキがなくなってきた」という少々あいまいな状態で痴呆の可能性を感じることが多いでしょう。

ペットの場合、犬種や猫種により個体差はありますが、痴呆は13才頃から始まり、一般的に猫は犬より痴呆になりにくいと言われています。また、みんなが同じスピードで老いるわけではありませんし、病気からくるものでなければある日を境に急に痴呆になることなどはなく、徐々にその方向へ向かっていくのです。
だからこそ、飼主さんは今後愛犬に痴呆が起こる可能性があると仮定し、老齢期(猫や小型犬で7〜8才、大型犬で5〜6才)になる頃から、痴呆についての一般的な知識を持つ必要があります。飼い主さんに痴呆に対する知識や理解が少しでもあれば、もしペットが痴呆症になったとしてもその行動に対する受けとめ方が違うのではないでしょうか。

また、老齢になってくると同時に、痴呆以外にもいろいろな内臓疾患が起こりはじめます。吠えているのは痴呆からくるものではなく、どこかを痛かったり苦しかったりしているのかもしれません。食欲が異常なのは糖尿病などの内臓疾患が起こり始めているのかもしれません。ヨタヨタと歩くようになったのは目が見えなくなってきているからかもしれません。失禁は神経の病気からくるものかもしれません。前述のような痴呆と思われるような症状があったとしても、すぐに痴呆だと思い込まずに、まずは動物病院で検診を受けてみましょう。痴呆症ではなく、それが病気のサインであるかもしれません。また、初期の痴呆であればちょっとしたことで若返ったように元気になる子もたくさんいます。


★現状をしっかり受けとめましょう!★
 
お話しているように痴呆は完治がほとんど不可能ではありますが、痴呆になるということは長い間、飼い主さんと共に暮らしてきた証しでもあります。出来る事を精一杯してあげてください。

やがて来るかもしれないその日のために飼い主さんができることは、何があってもあわてずに、事実を事実として受けとめてしっかり対応することです。

痴呆に対する予備知識を普段から頭の中に入れて「転ばぬ先の杖」を持っておけば、もし、今後に痴呆が起こってしまった場合でも、心身ともに適切な対応ができるのです。
 
そしてその対応が、たくさんの深い愛情をくれた愛犬や愛猫への恩返しになることでしょう。

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