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腫瘍

肥満細胞腫について 〜犬の場合と猫の場合〜 [腫瘍]

”肥満細胞”といっても肥満とは関係ありません。聞きなれませんが犬猫には多い腫瘍なんです。犬と猫の肥満細胞についてそれぞれ解説します。


★肥満細胞種を知る★
 
肥満細胞は、体のいろんなところに存在し、過敏反応(アレルギーなど)や炎症反応、免疫反応に深く関わっている細胞です。肥満細胞腫とは、無意味で激しい増殖が見られる場合で、犬や猫やフェレット以外の動物ではあまり見られません。

肥満細胞種は、犬では皮膚に出来る腫瘍の中で1番多く、猫では2番目に多くみられます。また犬においては、悪性傾向にあるものが多いといえます。なぜ犬猫に多いのか? その直接的な原因は解明されていません。


★犬の肥満細胞腫★
 
それでは、犬の場合から、もう少し細かく見ていきます。肥満細胞種のできやすい年齢は、平均8〜9歳で雄雌に差はありませんが、発生リスクの高い犬種は存在します。

・ブルドック系(ボクサー、ボストンテリアなど)
・ラブラドール・レトリバー
・ゴールデン・レトリバー
・シュナウザー など

 
一般的に、ブルドック系は良性のものが多く、また最近では、パグにおいて皮膚のいろんな場所にできる良性多発型と呼ばれるものが増えているようです。


★犬の肥満細胞腫はどんな所にできる?★ 

ほとんどが皮膚です。まれに、口や内臓にも起こりますが、転移によって起こることがほとんどです。

多くの腫瘍は、限局性の小さい塊で、約50%が体幹〜陰部周囲、40%が四肢、10%が頭部〜頸部に発生し、10〜15%は多発する傾向にあります。


★犬の肥満細胞腫はどんな症状?★ 
 
良性のものは肉眼で見た場合、直径1〜4cmであり、増殖は緩やかで表面の脱毛はあるものの、潰瘍化はまれです。しかし緩やかな動きであっても、必ずしもその後の進行を予想する手ががりにはならないので注意が必要です。

また、悪性のものは増殖が急速で、腫瘍の周りに炎症が起こり、赤みが強く、潰瘍化する傾向にあります。

この腫瘍の特徴として、過剰に触ると肥満細胞の中にあるヒスタミン等の物質が放出され、腫瘍のまわりが赤くじんましんのように膨れることがあります。腫瘍を触ったことで、急に赤く大きくなったり小さくなったりと、驚かされることがあります。

この放出されるヒスタミン物質が、血液中に多く流れるようになると、全身への影響として、胃・十二指腸潰瘍等による嘔吐、下痢、また血液凝固障害などの症状が現れるようになります。この状態は、非常に注意の要する事態と言えます。


★猫の肥満細胞腫★
 
犬と異なり、肥満細胞型と組織球型の2つのタイプが存在し、発症しやすい年齢として肥満細胞型は老齢(平均10歳)、組織球型は若齢(平均2.4歳)で見られる傾向にあります。

病気の型としては、やはり皮膚型が多く、内蔵型は少ないといえます。しかし内蔵型において、猫は犬と比べれば多いのが現状です。内蔵型は、老齢で見られ、脾臓や消化管に発生します


★猫の肥満細胞腫はどんな所にできる?★ 
 
1番に頭部(耳や耳のつけ根)に多く、次に体幹、四肢に多く見られます。

通常は、孤立した0.2〜3cmの隆起した白いもので良性が多いようですが、潰瘍があるもの、眼の上で周囲の皮膚との境界が不明瞭なものは、悪性の傾向が強いと言えます。内臓(脾臓や消化管等)型は、他臓器への転移なども引き起こし、非常に注意を要します。


★猫の肥満細胞腫の診断は?★ 
 
一般的に、細胞診(注射の針を腫瘍に刺して少量の組織を採取し、その標本を顕微鏡で観察する)による診断は可能です。細胞診は麻酔等も必要なく簡便な検査ですが、最終的な悪性度等の診断には病理組織検査が必要で、これには外科的に採取した組織が必要です。


★猫の肥満細胞腫の治療は?★ 
 
しっかりと診断を仰ぎ、状況に応じた治療計画を立てることが大切です。一般的な第一選択としての治療は、正常部を含めて大きく切って完全に取り除くことです。完全に取り除くことが出来れば、完全治癒も夢ではありません。

放射線療法も有効ですが、基本的には切除手術との併用や手術の適応が困難な場合に行われます。そのほか、補助的化学療法(抗がん剤・ステロイド剤等)も状況に応じて行われます。さらに補助的ではありますが、腫瘍随伴症候群に対する内科療法は、他の処置を行う上でも大変重要な治療となります。


★おわりに★
 
細胞腫という病名は良性によく使われますが、この肥満細胞腫においては決して良性を意味せず、潜在的に悪性と認識したほうが良い場合が多いといえます。

まずは早期発見、早期治療を心がけたいことは、言うまでもありません。皮膚にできものを見つけたら、まずは獣医師の診察と指示を仰ぐとともに、注意深く経過を観察することが重要です。

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