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腫瘍

愛猫が乳腺腫瘍と言われたら [腫瘍]

猫の乳腺腫瘍はほとんどが悪性です。広範囲な切除手術が必要になります。転移も早いので迅速に対処しましょう。痛がるなどの自覚症状がほとんどないので飼い主さんが早く発見してあげることが大切です。


★原因はなに?★ 
 
ネコちゃんの乳腺腫瘍の原因は不明です。乳腺腫瘍になる確率としては、避妊手術を行っていないネコちゃんでは早期に避妊手術を行ったネコちゃんと比べて7倍の危険率があると言われています。このことからやはり女性ホルモンが関係していると思われますが、ワンちゃんの乳腺腫瘍ほど女性ホルモンの影響を受けているわけではないようです。


★どんな症状なの?★ 
 
ネコちゃんの乳腺腫瘍で最も知っておくべき事は、乳腺腫瘍と診断されたとしても約80%が悪性の乳癌であるということです。一般的に悪性腫瘍は、進行度も速く他の臓器にも転移していきます。ですから乳腺に少しでも小さなしこりを見つけたら迅速に対処しなければなりません。

しこりは乳房付近の皮膚下に通常硬くて結節状に一箇所みられることもありますし、複数のしこりがみられる場合もあります。腫瘍は皮膚に癒着していることが多いです。症例の4分の1以上は腫瘤が自壊し、潰瘍化してしまいます。さらに進行すると腫瘍性血栓や血液還流の低下(循環障害)によって浮腫を生じ、太腿が腫れて不快感を伴うこともあります。乳頭に腫瘍が発生した場合だと赤く腫れて黄褐色〜黄色の滲出液を分泌します。

症例の半数以上は複数の乳腺に病変が及んでおり、それに伴って全身状態も異常を示すことが多いです。このような場合貧血や腹水貯留、白血球増多症、子宮疾患などを伴うことがあります。

また、ネコちゃんの乳腺腫瘍は悪性であることがほとんどであるため、肺への腫瘍の転移が早いので注意が必要です。肺転移や胸部への侵襲が広範囲に及ぶと胸水が溜まってきたり、胸膜炎によって呼吸不全を起こすこともあります。


★診断は?★ 
 
ネコちゃんの乳腺腫瘍は悪性である場合が多いため、しこりに針を刺して細胞を顕微鏡で検査するというバイオプシーは避けた方がよいでしょう。悪性か良性かの判断は基本的に、乳腺腫瘍を外科的に切除してから病理組織検査に出して、確定診断を行います。


★治療方法は?★ 
 
治療方法としては外科的に腫瘍を切除するというのが第一選択になります。もちろん手術を行うには全身麻酔をかけなければいけないため、血液検査を行って全身状態を考慮する必要があります。外科的治療以外には、放射線治療、抗がん剤治療、免疫療法などがあります。しかし、例え腫瘍の大きさが小さくても悪性度が高く他に転移がみられる場合は、これらの治療を併用したとしても、残念ながら根治することは難しいでしょう。


★予後は?★ 
 
ネコちゃんの乳腺腫瘍の場合、外科的手術においても切除範囲がその後の生存期間に影響を与えるため、消極的な切除ではなく可能な限り広範囲に切除することが大切です。消極的な切除であっては、その後の手術部位に再発がみられる確率が高くなるのです。

ネコちゃんの乳腺腫瘍は潰瘍化しさらに細菌感染が伴って悪臭を放つなど、苦痛を伴うような状態になってしまうことが多いため早期発見、積極的な早期治療が重要になります。

腫瘍の大きさが3cmを超えると生存期間がグンと短くなってしまうというデータもあります。やはり早期治療が予後を左右するといえるでしょう。


★おわりに★
 
乳腺腫瘍はネコちゃんの腫瘍のなかでも発生は多いです。良性の乳腺腫瘍も少数ですが存在します。ですが、ネコちゃんの乳腺腫瘍はすべて悪性として取り扱うべきです。例え根治できなくとも適切な治療とケアをしてあげることにより、余命を伸ばしてあげることもできます。

その中で一番大切なのは、ネコちゃんの苦痛を軽減してあげて少しでも長く家族と穏やかな生活を送れるようにしてあげることなのかもしれませんね。

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