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呼吸循環器

猫のメヤニ・鼻水・くしゃみ 〜猫のカリシウイルス感染症〜 [呼吸循環器]

猫にメヤニ・鼻水・咳やくしゃみが見られたら・・?猫にも風邪が?人にはうつるの?猫風邪のひとつカリシウイルス感染症についてのおはなしです。


★どんな風にうつってしまうの?★
 
猫のカリシウィルス感染症は上部気道感染が原因の、猫同士でうつる伝染病です。すでにこのウィルスに感染した猫の目ヤニ、鼻みず、よだれなどに、まだ感染していない猫が接触することによって感染してしまいます。同じ食器でご飯を食べたり、目の前でクシャミをされたりすることによって簡単にうつってしまうのです。

また、カリシウィルスが風に乗って飛沫感染や空気感染をすることもあります。そのためこの病気は空気が乾燥する冬に発生しやすく、飼い主さんが野外でカリシウィルス感染症の猫を触ったり抱いたりした後に皮膚や衣服を通じてそのウィルスを運び、自宅で飼っている猫に感染させてしまうケースもあります。

特に、ワクチンを打っていない野良猫たちの間では感染していることが多いため、飼い主さんがその野良猫、もしくはその猫から生まれた子猫を拾った時点ですでにウィルスを持っている可能性もあります。

なお、「猫カゼ」といってもこの感染症が人にうつることはなく、人のカゼが猫にうつることもありません。


★どんな症状を起こすの?★
 
カリシウィルス感染症に感染すると、目ヤニがひどく出て目がふさがってしまったり、口内炎や舌潰瘍を起こしその痛みから食べられず食欲がなくなったり、くしゃみや鼻水により鼻がつまって呼吸がしづらくなったりする症状があらわれます。発熱は必発ではありません。

通常であれば2週間ほどで回復しますが、時に肺炎や食欲不振から衰弱し、徐々に抵抗力がなくなり死に至ってしまうこともあります。特に授乳期や離乳直後でまだ身体に十分な免疫が備わっていない子猫が感染すると症状が悪化することが多く、他の病気との合併症があった場合はさらに治療が困難になってしまいます。


★ヘルペスウィルス感染症と、何が同じで何が違う?★
 
カリシウィルス感染症と同じ「猫カゼ」と呼ばれる病気にヘルペスウィルス感染症があります。カリシウィルス感染症は口内炎や舌炎が主症状となりひどくなりやすいのに対し、ヘルペスウィルス感染症は主に結膜炎による目ヤニやくしゃみが主症状としてあらわれます。

しかし、感染初期はどちらの感染症においてもくしゃみや鼻水が発症するため、あまり見分けがつきません。よって症状だけでどのウィルス感染症なのかを特定することは難しく、検査によるウイルスの同定も簡単ではありません。

また、「猫カゼ」としてカリシウィルスとヘルペスウィルスの両方に感染していることも多々あります。


★治療は自力回復を手助けすることです★
 
効果的な抗ウィルス剤があまりないことから、カリシウィルスを直接退治する方法はありません。よって治療の基本は症状をできる限り抑えながら感染した猫の体力や免疫力を上げていき、自力回復するのを手助けすることが重要となります。

中でも目や鼻の洗浄は大切で、猫は匂いにより食欲が促されるため鼻の洗浄には特に気を配る必要があります。常にウィルスの排泄されている目ヤニや鼻水をきれいに拭き取り、抗生物質や消炎剤などの点眼・点鼻薬を投与します。また、抗生物質の全身投与により二次的な肺炎を防ぎます。

食欲がない場合は、点滴によって栄養剤、抗ウィルス剤であるインターフェロンなどを投与したり、体を温めて高カロリーの栄養補給食品を強制投与するなどして栄養をつけさせ、猫の体力や免疫力の低下を防ぎ自力で回復することを期待します。

成猫の場合はたとえ感染していてもそれほど症状の悪化はせず、子猫に比べて回復もしやすいのですが、カリシウィルス感染症と同時に猫エイズウィルスや猫白血病ウィルスなど免疫力を弱めてしまう病気にかかっている場合は回復が難しく、逆に症状がひどくなってしまいます。


★カリシウィルスに対する消毒方法は?★
 
カリシウィルス感染症は感染猫の分泌物が原因で起こります。よって感染猫がいる場所やくしゃみやよだれを垂らした場所の清掃や消毒、普段使っている食器の洗浄など、身近な環境の消毒を完全にすることも感染を広げない意味でとても大事になります。

室内で飼っている場合、特に多頭飼いの場合は感染猫を隔離します。すると同居猫と接触しないほか、行動範囲が限定されるため、分泌物に含まれるウィルスの拡散は狭くなり、分泌物の掃除や消毒もしやすくなります。消毒は塩素系の消毒剤か、クレゾール石鹸液を使用します。消毒用のアルコールは効きません。

もちろん飼い主さんが感染猫を触った場合もよく消毒して、環境衛生を保ちましょう。


★予防方法は?★
 
最大の予防方法はワクチンです。カリシウィルスやヘルペスウィルスの感染を防ぐ混合ワクチンを、子猫の時からしっかり接種することが大事になります。それと同時に室内で飼うことを徹底して、野外での感染の可能性を極力減らしましょう。

ただし、ワクチン接種前にカリシウィルスに感染してしまっている場合は保菌状態でウィルスが体の中に潜んでいる可能性が高いため、ワクチン接種をしてもそれ以降に発症してしまう場合があります。感染症の再発を防ぐためにも過度のストレスをあたえないように注意し、日常の健康管理を心がけましょう。


★おわりに★
 
あれ? 治ったと思ったのに…

前述のように、ここで重要なことは、一度カリシウィルスに感染した猫は治療してもウィルスを完全に退治することができず、体内にウィルスを持ち続けるということです。回復した猫の80〜90%は保菌状態(キャリア)になるといわれており、保菌状態の猫の喉頭口部から持続的にウィルスが排泄されます。

よって、治癒後かなりの期間が経っているのに再び発症してしまったり、同居している別の健康な猫が発症してしまうこともあります。したがって飼い主さんは、治癒後も慢性の保菌状態が続くことを十分理解しておく必要があります。

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