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泌尿生殖器

猫の尿結石症 〜おしっこが出ないんです〜 [泌尿生殖器]

猫は尿石症が多いって聞いたことがありませんか?膀胱から尿道にかけて結石が生じて排尿困難、血尿などの症状を出す疾患を猫下部尿路疾患と呼んでいます。原因になるストラバイトができにくくするにはどうすればよいのかな?


★尿結石とは★

尿結石は、もともと顕微鏡でわかるくらいの小さな結晶が集まって作られるものです。一言に結石といってもその種類はさまざまです。尿結石全体の75%を占めるのは「ストラバイト結石」と呼ばれているもので、尿を顕微鏡で覗くと“ストラバイト”と呼ばれる結晶が見られます。

ほかにも「シスチン」「シュウ酸カルシウム」「尿酸アンモニウム」などがあり、オシッコの成分によって作られる結石も異なってきます。


★尿結石になりやすいのは★

尿結石ができることで排尿障害を起こす病気を「尿石症」と言いますが、これは現代ペットの生活習慣病になりつつある病気です。

尿石症になる原因としてビタミン・ミネラルバランスの悪さ、飲水量の不足、肥満や運動不足などがあります。また尿結石を作りやすい体質もあるため、遺伝性も考えられています。膀胱炎を始め、細菌の感染も尿結石を作る原因となります。

尿石症はオスにもメスにもある病気ですが、基本的にはメスの尿道のほうがオスより太くて短かく外部からの細菌が侵入しやすいため、メスに起こることが多いようです。

ただし、小さな石ならオシッコとともに排出できるので、大きな結石になるまで膀胱にとどまりにくいことが特徴です。その反面、オスは結石ができにくい代わりに、たとえ小さな結晶でも尿道につかえてしまうことが多々あります。それがやがて尿道の途中で完全に詰まってしまうとオシッコが出なくなり、大変危険な病気になってしまいます。


★症状について★

飼い主さんが気づく症状として「オシッコがあまり出ていない感じがする」「オシッコの時間が長い」「どことなく元気がない」「水を飲む量が増えてきた」「血尿」などがあります。ほかにも、オシッコがたまった膀胱を圧迫されるため抱かれるのを嫌がったり、膀胱や尿道にある石が粘膜を傷つけるため、排尿する度に痛くて悲鳴をあげたりすることも多いようです。


特にオスの場合は尿道に詰まることでオシッコが出なくなると、オシッコとして出すべき老廃物や毒物が体の中に再吸収されるため、引き続き腎不全を起こします。その状態になると犬は中毒症状を起こし、吐いたり、ぐったりしたり、中には痙攣を起こすことにもなりかねません。


★尿石症になってしまったら★

尿石症になってしまった場合、大きな結石であれば手術をして取り出します。また、小さな結石や結晶であればそれらを溶かす餌を食べさせることで治療をします。すでにそれらが尿道に詰まってオシッコが出なくなってしまっている場合には、オシッコを通過させるための緊急処置が必要です。

また結石や結晶を溶かす餌は、その結石の種類によって食べさせる餌が異なりますので、その成分を調べることが不可欠となります。なお、手術によって結石を取り出しても、以前と同じ生活をしていると半年〜1年で再び結石が作られてしまうこともあるため、このような場合も結石をできにくくする食事療法によって再発を予防します。


★発症後のケア★

発症後は、再発しないようにこのような食事療法で尿結石の生成を予防するほか、飼い主さんが日頃の生活環境を改善することが大事になってきます。食餌は動物病院で取り扱っている処方食やマグネシウムが少ないものを与えます。濃くて尿量が少ないオシッコは尿結石を作る要因となります。

そのため尿量を増加させるために、ドライフード(水分10%)よりも缶詰(水分80%)を利用すると自然に水分摂取量が増やすことができます。水に無塩スープなどを加え風味付けをし、好んで飲ませるようにするなども工夫のひとつです。

また、特に冬場は寒いため飲水量が減り動きも鈍くなるため、トイレに向かうことが少なくなります。よってトイレの場所を含む室温を18〜25℃に設定しましょう。

多頭飼育の場合には常に飲水できるように数箇所に給水の場所を設置します。高齢であまり動かないような子がいる場合には、お気に入りの場所や寝床のそばに置くのもよいでしょう。ただし、トイレの近くは汚染の可能性も出てくるため避けましょう。

また、ストレスを起こさないような環境を作ることも大切です。特に猫の場合、トイレが汚れていたり、トイレ砂の商品自体を変えたときにそれが気に入らなかったりすると、オシッコを我慢してしまうため尿結石の生成につながることもあります。


★まとめ★

尿石症は一度発生すると、管理不十分により再発することも多い病気です。尿量・尿の色・排泄している時間など毎日の排尿状態をよく観察し、日頃から充分気を配ってあげましょう。
 
また発症後の定期的な尿検査はとても大事になります。発症後に生活の改善をしたことにより尿石症の予防がちゃんとできているかどうかがチェックでき、もし予防できず再発してしまっていても病気の早期発見になります。

尿石症において食餌の管理は非常に重要です。今まで食べていたおいしいフードを食べさせてあげられなくなることは残念かもしれませんが、飼い主さんが病気のことをしっかり理解して再び病気を起こすことがないようにしてあげることで、ペットは快適な生活をすることができるのです。

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