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飼い方

ファーストエイド 〜覚えておこうペットの応急処置〜【飼い方】

誰でも簡単にできる応急処置方法を知っていれば、ケガやトラブルの際に慌てず落ち着いて対処できます。「RICE処置」って何の略?


★応急処置の基礎とは?★

まずは、応急処置を行う際の原則を確認しておきましょう。1つ目は「安全な場所まで退避させる」ということ。ペットもそうですが処置をする人間が危険にさらされるような場所では2次的な災害を引き起こす可能性が高くなるからです。しかし、交通事故などで頭部や脊椎の損傷が疑われる場合は、発見した場所で応急処置を施す必要があります。

2つ目は「最も重大な傷害に対して最初に処置をする」ということです。状況を正確に認識して何に対してまず処置を行うべきかを冷静に判断する必要があります。

3つ目は「安静に搬送する」です。応急処置はあくまでも応急処置です。最終的には必ず専門の獣医師に診てもらう必要がありますが、その際には安全に安静に搬送することが大切です。身近な板やタオルを担架代わりにするのもよいでしょう。


★「RICE処置」とは?★

応急処置の基礎として、「RICE処置」というものがあります。「RICE」とは、応急処置に必要な4つの事項をアルファベットで表記し、その頭文字を取ったものです。詳細をご紹介しましょう。

「Rest(安静)」
患部を動かさないことで、腫れや炎症を抑え、出血を最小限に食い止めます。

「Ice(冷却)」
患部を冷やすことによって血管を収縮させ血液の流れを抑制し、痛みを和らげます。

「Compression(圧迫)」
患部を圧迫して血腫(血のかたまり)ができることを防ぎます。

「Elevation(高挙)」
患部を心臓より高く上げることで、患部に流入する血液の量を制限し、内出血を軽減させます。


★動物の状態を確認するための方法★

応急処置においては、状況を正確に把握することがとても大切です。そこで、状況確認のためのチェック項目を挙げてみました。これらの状況を把握しておくことで、搬送先の病院での診断・治療に有用な情報提供をすることもできるのです。

【状態確認チェックポイント】
・意識と反応があるか?
・呼吸をしているか?
・歩けるのか?
・出血はあるのか?
・変形しているか?(骨折があるのか?)
・ショックのサイン
・内臓損傷のサイン


★チェックポイントの解説★

では、具体的にどのように状況を確認すればよいのでしょうか。その方法をご紹介します。

「意識と反応」
 動物に声をかけて意識があるか確認してください。適切に反応すれば精神状態は問題ありませんが、変化(意識喪失や見当識障害)がないことを確認してください。骨折や脊椎損傷が疑われるなら動かさないで、単純に声に反応するかチェックしてください。

「呼吸」
 意識がなければ、呼吸しているかをチェックすることは重要です。胸が動いているか見て、呼吸音を確認してください。または、手を犬の鼻に近づけ呼吸を感じてください。呼吸が浅ければ、犬の毛を数本抜いて鼻の前に置いてください。もし呼吸をしていれば毛が動きます。

「歩行」
 歩行を確認してください。跛行は罹患した肢の痛みを示します。地面から肢を完全に上げていることは骨折・脱臼あるいは重度の捻挫を示します。ふらふらするようであれば頭部あるいは脊椎損傷が考えられます。協調運動障害による歩行は中毒を示すかもしれません。

「内出血と外出血」
 さまざまな場所で出血は起こりますが、体の表面からの出血(外出血)と体内での出血(内出血)があります。例えば口からの出血は口腔内の出血以外にも肺からの出血(肺挫傷)の可能性もあります。体中で出血が起こった場合はなかなかわかりづらく、また生命に危険を及ぼす可能性が非常に高いです。

さて、外出血が見られる場合、応急処置の最初の一手は止血です。出血がないかどうかチェックして、出血している部位を見つけたら、タオルや靴下など何でも構いませんので出血部位を圧迫して止血してください。


★バイタルパラメーター★

バイタルパラメーター(「バイタル=生きている」+「パラメーター=変数」)とは、生命が維持されていることを指し示す数という意味です。よくテレビの医療ドラマで、急患が運ばれてきたときに「バイタル、確認して」と指示された看護師さんが脈拍や体温などを確認する場面があるでしょう。バイタルパラメーターを確認することで、現在の状況を確実に把握することができます。以下に、その項目を挙げます。


毛細血管再充満時間
上唇をめくり、指先で歯の上のピンク色をした歯肉の一部をしっかり押して(粘膜が白くなる)、どのくらいの時間で元の色(ピンク色)に戻るかによって判定します。
正常値:1〜2秒 脱水 :3秒以上

呼吸数:犬 10〜30回/分(安静・睡眠時)、猫 20〜30回/分(安静・睡眠時)
呼吸しているかどうかはっきりしない場合は、綿花やティッシュを鼻あるいは口の前に持っていき、綿花やティッシュが動いたら呼吸していると判断します。鏡を鼻や口に持っていっても代用できます。犬はパンティングしますが、猫はしません。猫が口を開けて呼吸していたら獣医に相談してください。

体温:健常犬の正常体温:38.1〜39.2℃、健常猫の正常体温:37.8〜39.2℃

歯肉の色:ピンク色(赤や白や黄やグレーは異常です。)

心拍(安静時):
ほとんどの成犬 :60〜160/分
仔犬・小型犬 :〜180/分
中型犬 :80〜120 /分
大型犬 :70 〜 120 /分
猫 :160〜220/分

ちなみに前肢を90度の角度曲げた時の肘の位置が心臓です。心拍が測定できない場合は2本の指で軽く鼠蹊部(ももの付け根)の拍動(股動脈圧)を感じてください。


少々難しく感じたかもしれませんが、全てを飼い主さんが「できる」必要はありません。知識として持っておくだけでも、何かひとつでも外出先でも安心!してあげることができるのです。それが獣医師への正確な情報提供であってもいいのです。万が一のときも本当の意味で頼れる飼い主さんである努力をしましょう。

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