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栄養学

ワンコに本当に野菜はいらないの?【栄養学】

果たして本当に犬に野菜はいらないのか? 飼い主さんが疑問に思うことは共通で、「本当に犬に野菜ってあげていいの?」「野菜を与えることで何か悪い影響はないの?」ということでしょう。 犬にとって野菜は必要なのか、そして犬と野菜の「相性」はどうなのかを考えてみましょう。


★まずは食物繊維を消化するメカニズムをおさらい★

「犬は野菜の繊維を吸収できないから与えてはいけない」という風説に困惑している飼い主さんも多いと思います。結論から言えば、与えてはいけないものではありません。それでは、その理由を解説していきましょう。
まずは、馬やキリンなどの草食動物が食物繊維を分解するメカニズムを考えてみましょう。実は、草食動物でさえ“自分の力だけ”では食物繊維(セルロース)を消化することは出来ません。草食動物は繊維(=セルロース)を分解する酵素を持っているからこそ栄養源として摂取することができるのです。このように繊維を消化するように「設定」されているのが草食動物です。
では、次に人間について考えてみましょう。人は雑食動物です。肉も野菜も消化し、栄養として取り入れることができる「設定」になっています。
牛も含めどんな動物も野菜に含まれるビタミンやミネラルは摂取できたとしても自分の力で植物(セルロース)を消化することは出来ません。従ってセルロースは不溶性食物繊維としてうんちに出てしまいます。牛などの草食動物は微生物の力を借りて“発酵”とい戦略を駆使してセルロースを消化吸収しています。ちなみに身近では牛乳と乳酸菌を発酵させるとヨーグルトが完成します。
人は“煮る”という戦略で生の状態では消化できないセルロースを溶かして消化出来るようにしています。また肉食動物と草食動物では食性の違いが腸の長さに現れています。草食動物の腸は肉食動物に比べて腸の長さが長くなります。これは肉などの動物性食品は消化吸収が速やかであるのに対して、植物性のものはやや時間がかかるからです。


★犬は人と同じ雑食動物★

犬も人間と同じ雑食動物ですが、人より肉食に近い雑食動物といわれています。犬の腸は繊維を消化するように「設定」されていないので、野菜類の消化率が低いことは否めない事実です。しかし犬の体内で消化されないということは、実は都合の悪い事ばかりではなく“消化されない”からこその利点もあります。
最近の研究で食物繊維は犬の腸管の健康に役立っていることが分かりました。つまり腸にすごく効果的、とまではいかないものの良い面もあるということが分かってきたのです。

【犬における食物繊維の効用】
@ 食物繊維は消化されないので、大腸内で「うんち」の量を増やし、腸壁を刺激するため便秘を予防することができる 。
A 食物繊維は消化されないので、胃の中での「停車時間」が長くなり、腹持ちがよい。
B 適度な量の繊維質は小腸内の腸内細菌のバランスを維持。


★野菜を与える際の注意点★

さて野菜を与える際にどんなことに気をつければいいのか、注意点を簡単にまとめてみました。参考にしてみてはいかがでしょうか。

野菜ばかりを与えるとどうなるのか
大量に食べると腸内細菌によって発酵されてガスが溜まりやすくなります。

適量とは具体的にどのくらいか
ダイエットが目的であればドッグフードを減らした分、野菜を少し多めに加えます。毎日同じフードではかわいそうという飼い主さんの心理面だけを配慮した場合はドッグフードの上にかけるイメージでいいでしょう。

調理する際の具体的注意事項
経験的にむしろ生の方が犬は好みます。個体差はありますが、犬は軟らかい食感より野菜の硬い部分を好みます(キャベツの芯や大根など)。茹で汁は捨てて茹でた野菜だけをドッグフードに振り掛けます。

与えてはいけない野菜
野菜に含まれるアルカロイドが犬に毒性を示すこともあります。
摂取してはいけない野菜ではありませんが、アルカロイドという視点から大量に摂取しない方が無難であると考えられる野菜は
 ・ナス科(ナス、ジャガイモ、トマト、ピーマン、ハバネロ)
 ・マメ科(インゲンマメ)
 ・ユリ科(ネギ、ニラ、ニンニク、タマネギ、アスパラガス、ラッキョウ)
です。

しかし摂取する量が大切で通常“舐めた程度”では大きな問題に発展することは稀です。ジタバタする必要はありません。

このような場合には野菜を与えるのは不適切
野菜や果物はアルカリ性食品で、アルカリ性ミネラルが多く含まれます。人ではこれらの食品を1ヶ月以上食べ続けていると確かに尿のpHはアルカリ側に傾きます。犬では報告されていませんがアルカリ性尿石症の治療をしている犬にはあえて野菜を与えることは控えた方が無難かもしれません。
ちなみに硫黄、塩素、リンなどのミネラルは酸性を示し、これらは肉類、魚、穀類に多く含まれます。


犬は野菜類の消化率が低いながらも、効果的に与えると逆に腹持ちがよく、食物繊維が腸管の健康に役立っていることも分かりました。今回ご紹介した注意点を把握した上で、効果的にワンちゃんにも野菜生活を取り入れてはいかがでしょうか?

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