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内分泌

多飲・多尿に要注意パート1 〜犬のクッシング症候群って何?〜 [内分泌]

クッシング症候群には医原性と自然性のものがあります。ステロイドを3ヶ月以上飲ませている子では注意が必要です。お腹が膨れる、毛が薄い、ハアハアいう呼吸が多くなったなどの症状に加えて”多飲・多尿”という症状が現れたら要注意です。


★クッシング症候群ってどんな病気?★ 
 
クッシング症候群は別名「副腎皮質機能亢進症」と呼ばれています。腎臓の上にある副腎の中の、副腎皮質という内分泌腺の異常によって、そこから出る副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が多量に分泌されることにより起こる病気です。副腎は生きるためにとても大切な器官なので、その異常は体に大きな影響を及ぼし、さまざまな変化を与えます。

この病気は症状に特徴があり、ビール腹のようにお腹が膨らんだり、左右対称の脱毛、皮膚が弱々しくなる、多飲多尿、活発でなくなり寝てばかりいるなどの体の変化が起こります。

しかしお腹が大きくなったのは太ってきたから、脱毛は年をとってきたから、など飼い主さんが勝手に思い込んでしまうことも多く、この病気に気づいた時にはだいぶ病状が進行していることもあります。そしてさらにその状態が続くと、感染症にかかりやすくなる、糖尿病、高血圧症、心不全、行動の変化や発作などの神経症状などを起こす場合もあり、命の危険を伴います。


★どうしてこの病気になるの?★ 
 
副腎皮質ホルモンを出しなさいと命令する「副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)」が分泌される脳下垂体や、副腎自体に腫瘍があると、副腎の機能をコントロールできなくなり、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の分泌が多くなります。これを『自然発生クッシング症候群』といいます。また、副腎皮質ホルモン薬を薬として過剰に長期間投与していることが原因で副腎皮質ホルモンの量が多くなる場合を『医原製クッシング症候群』といいます。

いわゆる腫瘍などによる異常で起こる副腎の本当の機能亢進は『自然発生』で、副腎の機能低下のため薬を飲ませることで副腎皮質ホルモンの量が多くなり起こるものが『医原性』なのです。特に医原性クッシング症候群の場合はアレルギー疾患など長期にわたり副腎皮質ホルモンを飲ませている子に多い傾向があります。


★どんな検査でわかるの?★ 

お腹が出てきた、お水をよく飲む、毛が薄くなってきた、などという症状が出てきたとしても一概にそれがクッシング症候群だとは言えません。

その検査方法として血液中や尿中の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)や副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の量を測定します。どちらの量が高いのかによりどこが原因のクッシング症候群なのかを知ることができます。ただし、これらのホルモンは「ストレスホルモン」といって体にストレスがかかったり空腹になると多く分泌されたりするので、一度の検査で高いからといって異常があるとは限りません。そのような場合は測定する時間や条件を変えて再検査をしてみましょう。

また、腫瘍が原因で起こるクッシング症候群の検査としての有無を下垂体のMRI、腹部のCTやMRIなどを行い腫瘍の有無を確かめます。

医原性クッシング症候群が考えられる場合は、今まで飲んでいた薬の種類、その量、日数など処方歴を詳しく見直して動物病院に相談してみましょう。


★治療方法はあるの?★
 
自然発生クッシング症候群ではほとんどの場合はそれぞれに合った薬物療法をおこないます。しかしその処方は複雑で、薬を飲んだからといって治療に確実性や信頼性があるとは言い切れません。

また、もし腫瘍があった場合は手術による摘出が最善の方法ですが、現段階では犬や猫に対する脳下垂体の手術は行われていないので放射線療法以外に原因をなくす療法がなく、積極的な治療を望むことが難しい状態にあります。なお、副腎の腫瘍の場合は良性の場合は摘出により治療の効果も望めますが、悪性の場合は腹腔内やその他に転移するので手術自体が不可能なことも多く一般に予後は悪いようです。

医原性クッシング症候群の場合には、内服している副腎皮質ホルモンを徐々に減らしていけばその後回復します。できればその後は原因となる薬剤をやめるようにしましょう。


★どんなことに気をつければいいの?★ 
 
自然発生クッシング症候群の場合は原因が腫瘍や遺伝によるものなので、飼い主さんが気をつけて防げるものではありません。また、長い間、副腎皮質ホルモンの薬を飲んでいるときに前述のような症状がみられた場合は、医原性クッシング症候群の可能性も考えられます。

どちらにせよ、クッシング症候群のような症状が見られたら早めに動物病院に相談してみるのがいいでしょう。


★もしクッシング症候群になってしまっても…★
 
クッシング症候群のペットの食事管理は特に重要です。症状として多飲多尿の傾向があるため、十分に水が飲めない場合にはすぐに脱水を起こしてしまいます。常に新鮮な水を与えましょう。

また、お腹の膨らみは脂肪によるもので、代謝の変化により筋肉の消耗が激しくなります。よってできるだけ低脂肪で適度なたんぱく質が入っているものを与えましょう。個体によって状況が異なるのでやみくもな添加物などは与えないようにし、獣医師の指示に従って食事管理をしましょう。

この病気を管理することは、飼い主さんはもとより獣医師にとっても大変な努力が必要となります。クッシング症候群になってしまったペットは徐々に重篤な病的変化が現れてくるので、飼い主さんは獣医師と常に連絡を取り合って管理していかなければなりません。うまく病気をコントロールすることができれば、その後数年間生存させることが可能なときもあるのです。

そして検査や治療にあたっては飼い主さんの協力がとても必要となるため、この病気をしっかり理解しどんな状況にでもすぐに対応できるようにしておきましょう。

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